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2014年6月16日(月)

アジア・太平洋諸国 安保めぐる二つの会議

軍事同盟で平和築けぬ

9条改変ねらう日本に疑問

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 アジア・太平洋諸国の国防相らが出席するアジア安全保障会議(英国際戦略研究所主催)と、各国の学者や政府高官らが参加するアジア・太平洋円卓会議(マレーシア戦略国際問題研究所主催)が5月30日から6月4日にかけて、シンガポールとマレーシアでそれぞれ開催されました。南シナ海情勢と米国のアジア・太平洋地域への戦略的リバランス(再配置)、地域の安全保障枠組みについて活発な論議が交わされました。

 (シンガポール、クアラルンプール=松本眞志 写真も)


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(写真)シンガポールで開かれたアジア安保会議で発言を聞く各国軍・政府の高官=1日

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(写真)クアラルンプールで開かれたアジア・太平洋円卓会議=3日

 「中国は南シナ海を不安定化し、主張を押し通す一方的な行動をとっている」―ヘーゲル米国防長官はアジア安保会議で、南シナ海情勢をめぐり、中国がフィリピンやベトナムに対して取っている行動を具体的に挙げて批判しました。安倍晋三首相も中国を念頭に、「既成事実を積み重ね、現状の変化を固定しようとする動き」を非難しました。

 中国の王冠中・人民解放軍副総参謀長は両氏の発言に反発。「2000年以上前の漢の時代から中国は南シナ海での統治を徐々に確立してきた」として、南シナ海ほぼ全域での主権を改めて主張しました。

 非難の応酬の一方、南シナ海の安定化については、日米中を含む発言者が一様に「南シナ海行動規範(COC)」の策定、挑発的行為の中止、対話による平和的な紛争解決を強調しました。

 ただ、ほとんどの発言者が中国の「挑発的行為」を問題視。南シナ海問題で中立的な立場を取っているマレーシアのヒシャムディン国防相も、「2国間と地域的な関与を通じて中国に対処すべきであり、法の支配が実現することが望ましい」と呼び掛けました。

ASEANと日米に隔たり

 法の支配、対話による平和的な紛争解決といった“共通語”を使う一方で、アジア・太平洋地域にどのような安全保障の枠組みが必要かという点では、東南アジア諸国連合(ASEAN)各国と日米の主張には隔たりがありました。

 インドネシアのアンワル副大統領補佐官(政務担当)は「(アジア・太平洋で)一つの集団的システム(米主導の安全保障機構)を持つことは不可能だ。西欧とは非常に異なる地域であり、北大西洋条約機構(NATO)は存在しない」と発言。軍事同盟の強化をリバランスの基礎に置く姿勢を鮮明にしたヘーゲル氏に疑問を示しました。

 これに対しヘーゲル氏は、米国がASEAN諸国とNATO諸国の防衛力強化を奨励していると述べた上で、「各国は自国の安全保障に責任を持つべきだが、もし各国が集団安全保障や同盟に参加したいなら参加すべきだ」と応じました。

「日本が過去に 向かっている」

 安倍首相や小野寺五典防衛相は、米国のリバランスへの日本の積極関与、集団的自衛権行使の必要性、「積極的平和主義」の推進を主張。安倍氏は「積極的平和主義」について、「米国との同盟を基盤とし、ASEANとの連携を重んじながら、地域の安定、平和、繁栄を確固たるものにしていく」と説明しました。

 日本側の発言に会場から「日本が(侵略戦争を推進した)過去に向かっている」「憲法9条を変えようとしているのではないか」などの声が上がりました。「法の支配を説きながら、自分の国の憲法を守らないというのはおかしな話だ」と記者に話し掛ける米国の研究者もいました。


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