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2014年6月29日(日)

語ろう!集団的自衛権の危険

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 安倍晋三首相は週明け7月1日にも集団的自衛権行使を可能とする憲法解釈変更の閣議決定を強行する構えです。政府、自民、公明両党の動きを大きく包囲する草の根の宣伝、対話を広げることが決定的に重要です。


「自衛」と称して海外で武力行使?

憲法9条のもとで許されません

 憲法第9条第2項は交戦権を認めず、戦力不保持を定めています。そのもとで歴代政府は、自衛隊を「自衛のための必要最小限度の実力組織」と説明し、「海外での武力行使は許されない」としてきました。集団的自衛権の行使は認められないとは、そういうことです。

 それを安倍政権は百八十度変えようとしています。他国への武力攻撃を「排除」するために、武力の行使をできるようにしようというのです。憲法9条のもとでどうしてこんなことが許されるのでしょうか。だれが考えてもおかしな話です。

 ところが、安倍政権は「国際法上の根拠と憲法解釈は区別して理解する必要がある」(閣議決定案)というへ理屈を持ち出しています。他国のために武力行使をするのは、国連憲章など国際法では集団的自衛権といわれるが、日本国憲法のもとでは「我が国の存立を全うし、国民を守るためのやむを得ない自衛の措置」(同)というのです。“他衛”を“自衛”と言いくるめるごまかしです。こんなへ理屈を許せば“自衛”の名で自衛隊が海外に次々出て武力行使するようになります。

 「自衛の措置」だといって海外で武力行使するのは、過去に「自存自衛」のたたかいだといって侵略戦争を拡大していったことを思い出させます。

従来の政府見解と変わらない?

180度ねじまげる解釈改憲ですね

 政府と自民、公明の両党は、集団的自衛権を認めることで「政府のこれまでの基本的考え方と変わらない」「解釈の再整理であって解釈変更にあたらない」と繰り返しています。とんでもないデタラメで、変わらないどころか政府見解を百八十度ねじまげる解釈改憲そのものです。

 解釈変更の根拠とされる1972年の政府見解(参院決算委員会提出資料)は、「集団的自衛権の行使は憲法上許されない」としたもので、集団的自衛権行使を否定する根拠として多くの答弁などで引用されてきたものです。

 「国民の生命、権利が根底から覆される」という部分を都合よくつまみ食いして、結論だけは集団的自衛権の行使が許されるというすりかえをしています。他国に対する攻撃でも、「国民の生命と権利が根底から覆される明白な危険」があるとはどういう事態なのか政府からまともな説明はありません。

 安倍首相が一番に持ち出す「邦人を輸送する米艦が攻撃を受ける」事例については、アメリカが有事の際の邦人輸送を断っています。海外での武力行使は許されないという政府見解のもと、自衛隊は戦後一人の戦死者もださず、一人の外国人も殺していません。そのことが国際社会での日本への信頼を築いてきました。それをすべて投げ捨てることは許されません。

「拡大解釈ない」?

判断は時の政府歯止めなしです

 公明党の山口那津男代表らは「二重三重の歯止めが利く、拡大解釈のおそれはない」と述べています。

 「他国」に対する武力攻撃について「我が国と密接な関係にある他国」という「限定」が加わったこと、「国民の生命と権利が根底から覆されるおそれ」について「おそれ」を「明白な危険」に変更したことなどを「理由」としています。

 しかし、「密接な国」がどの範囲なのか、「明白な危険」がどの範囲なのか、判断するのは時の政府です。無限定な拡大に何の歯止めもありません。

 政府に判断の根拠を尋ねても「それは特定秘密」ということになります。国民にも国会にも真相は知らされないまま、政府の裁量でどこまでも広がる可能性があるのです。

 自民党の高村正彦副総裁は、活動に地理的制限は設けないとしており、「明白な危険」という要件のもとで「私たちがやらなければいけないと思っていることができなくなる可能性はない」と言って、ペルシャ湾での機雷掃海など「地球の裏側」での活動も可能だとしているのです。

 地球の裏側まで含む要件に「拡大解釈」はないといってもまったく意味はありません。

閣議決定で決まるの?

許さぬたたかい今後も続きます

 安倍内閣は閣議決定で、これまで「集団的自衛権の行使は憲法上許されない」としてきた政府の憲法解釈を覆すことを狙っています。閣議決定とは内閣の意思決定のことで、内閣の新しい意思を示そうというのです。

 しかし、最高法規である憲法に違反する閣議決定は無効です。そのような閣議決定をすることは許されません(憲法第98条)。

 他国のための戦争に参加する集団的自衛権が、戦力不保持と交戦権否認を明記した憲法第9条から出てくる余地はまったくありません。

 「解釈」の名を借りて9条を大本から掘り崩すような閣議決定を行い、それにもとづき海外で戦争する国づくりを進めることは、言語道断です。

 これまでの政府の憲法解釈は、国会審議を通じて積み重ねられてきました。政府自身も「政府が自由に解釈で変更できる性質のものではない」「便宜的、意図的に変更すれば憲法規範そのものへの信頼が損なわれかねない」としてきました。これを、密室協議の上に一片の閣議決定で葬ることなど、憲法破壊のクーデターそのものです。

 同時に、一片の「閣議決定」で自衛隊を動かせるわけでもありません。たたかいは今後も長く続きます。


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