2014年7月11日(金)
主張
閣議決定「Q&A」
弁明重ねるほど破綻浮き彫り
集団的自衛権の行使容認を柱とする閣議決定の強行(1日)に国民の反対世論が多数を占め、内閣支持率も急落する中、安倍晋三・自公政権が弁明に追われています。自民党や公明党はホームページなどで閣議決定の「Q&A」を、政府は内閣官房のホームページに「一問一答」を掲載していますが、その内容はごまかしだらけです。
自己矛盾におちいる
最大のごまかしは、閣議決定について「あくまでも国民の命と平和な暮らしを守る自衛のための措置であり、外国防衛それ自体を目的とする集団的自衛権の行使は認められていません」(公明党「Q&A」)としていることです。
閣議決定は、「憲法上許容される」とした武力の行使について「国際法上は、集団的自衛権が根拠となる場合がある」と明記し、集団的自衛権の行使を認めました。
政府の解釈によると、集団的自衛権とは「国際法上、自国と密接な関係にある外国に対する武力攻撃を、自国が直接攻撃されていないにもかかわらず、実力をもって阻止する権利」です。「他国に加えられた武力攻撃を実力をもって阻止することを内容とするもの」であり、「外国防衛」権にほかなりません。「外国防衛を目的にしない集団的自衛権」というのは自己矛盾の最たるものです。
安倍・自公政権のごまかしは、「日本が戦争に巻き込まれる」という国民の批判を意識したものです。しかし、「国民を守るための自衛の措置」という口実をつけたとしても、「外国防衛」という集団的自衛権の本質は変わりません。日本が「他国に加えられた武力攻撃を実力をもって阻止」することは、武力攻撃を加えた国に日本が武力を行使し、その国と交戦状態になることです。
「国連が認める武力行使であっても日本はその戦闘に参加できません」(公明党「Q&A」)ともしていますが、閣議決定は、「戦闘地域」での自衛隊の軍事支援を認めており、攻撃対象になるのは明らかです。
「国の存立を全うし、国民の命と平和な暮らしを守るために必要最小限の自衛の措置をするという政府の憲法解釈の基本的考え方を、何ら変えるものではありません」(政府「一問一答」)「政府の一貫した憲法解釈である1972年の見解の基本的な考え方は変えていません」(公明党「Q&A」)などの弁明もまったく通用しません。
72年の政府見解は、「外国の武力攻撃によって国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆されるという急迫、不正の事態」に限って「自衛の措置」を認めたものであり、「集団的自衛権の行使は、憲法上許されない」というのが結論だからです。
解釈を百八十度転換
今回の閣議決定は、「自衛の措置」の対象を「他国に対する武力攻撃が発生」し、日本の存立や国民の権利が根底から覆される「明白な危険がある場合」にまで広げ、集団的自衛権の行使を認めました。百八十度の大転換です。「明白な危険」を判断するのは時の政権であり、その一存で武力行使の範囲が際限なく広がることは隠しようがありません。
弁明を重ねれば重ねるほど、閣議決定の道理のなさ、破綻ぶりは浮き彫りになっています。こんな閣議決定は撤回すべきです。