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2014年7月15日(火)

「新3要件」歯止めなき武力行使

審議で浮き彫り

「日米同盟に深刻な影響」のケースでも

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 安倍政権が集団的自衛権の行使を容認する解釈改憲の「閣議決定」を1日に強行して以来、最初の国会審議が14日の衆院予算委員会で行われました。

 政府は、閣議決定に盛り込まれた「武力行使の新3要件」が憲法上の“歯止め”になっているとして、海外での無限定な武力行使を否定しています。しかし、これが何の歯止めにならないことが早くも浮き彫りになりました。

●機雷掃海に言及

 「新3要件でシーレーン(海上交通路)での機雷掃海はできるのか」。閣議決定前の与党協議で座長を務めていた自民党の高村正彦副総裁が質問したとき、議場は一瞬、緊張に包まれました。

 機雷掃海は多国籍軍の武力行使の一環である場合もあり、与党協議で公明党が否定的見解を示していたからです。しかし、安倍晋三首相は明確に答弁しました。

 「日本が輸入する原油の8割、天然ガスの2割は(中東の)ホルムズ海峡を通る。機雷掃海はだれかがやらないといけない。原油供給が回復しなければ、わが国の存立が脅かされ、国民の生命、自由および幸福追求の権利が根底から脅かされる」

 もともとは、日本に対する「急迫不正の侵害(武力攻撃)に限定していたものを、「エネルギー供給」を理由に中東でも武力行使が可能という考えです。日本が「資源確保」などを理由にアジア諸国を侵略した過去の戦争と同じ論理です。

●米先制攻撃にも

 さらに重大なのは、岸田文雄外相の答弁です。「日本が集団的自衛権を行使しないと、日米同盟に深刻な影響を与える場合はどうなのか」。民主党の岡田克也元代表の質問にこう答えました。

 「日米同盟はわが国の平和と安定を維持するために重要。新3要件に該当する可能性が高い」。このような理屈が認められたら、米国の先制攻撃戦争でも「国民の生命、自由を根底から覆す明白な危険」に該当するとして参戦することになりかねません。

●「恣意的判断」も

 「新3要件はあいまいで、時の政権が恣意(しい)的な判断をするという批判がある」

 公明党の北側一雄副代表は世論の批判を気にして、新3要件にある、「わが国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある場合」の判断基準をただしました。

 横畠裕介内閣法制局長官は、「わが国が武力攻撃を受けた場合と同様な深刻、重大な被害が及ぶことが明らかな場合」を挙げました。ただ、「いかなる事態がこれにあたるか定型的類型的に答えるのは困難」であり、政府が「客観的・合理的に判断する」と横畠長官は述べました。政府による「恣意的な判断」の可能性を認めたものです。

 安倍首相の答弁に従えば、「原油供給が停止した場合」も、日本に対する武力攻撃と「同様に深刻」なことになってしまいます。

 首相は、「経済に与える打撃で、結果として中小企業が倒産して多くの人が職を失う」などと答えましたが、議場からは失笑も漏れていました。


「武力行使の新3要件」が“歯止め”というが…

従来の「3要件」は

「我が国に対する急迫不正の侵害がある」場合に武力行使を限定=明確

 ↓

新「3要件」は

「我が国に対する武力攻撃が発生した場合のみならず、我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある場合」に武力行使が可能=あいまい

 ↓

 (1)中東での機雷掃海も該当

 「日本向けの原油の8割が(中東の)ホルムズ海峡を通る。石油供給が回復しなければ、我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される」(安倍晋三首相)

 (2)「日米同盟に影響」でも該当

 「日米同盟は我が国の国民の命を守るために必要。『3要件』に該当する可能性が高い」(岸田文雄外相)

 ↓

結局、政府の判断でいつでも、どこでも武力行使が可能に!


 「新3要件」 従来の「自衛権発動の3要件」は、「急迫不正の侵害」=日本への直接の武力攻撃を受けた場合に限って武力行使は可能にしており、他国の武力攻撃に参加する集団的自衛権行使は憲法上許されないとしてきました。今回の「新3要件」(閣議決定)では、日本への武力攻撃がなくても「我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険」などがある場合に武力攻撃を可能にしています。


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