2014年9月7日(日)
主張
経団連の献金再開
「金で政治を買う」策動やめよ
財界団体を代表する経団連(榊原定征(さだゆき)会長)が今週はじめにも企業献金への関与再開を正式決定しようとしています。自民党への献金を企業任せにせず、経団連として会員である業界団体や企業に強く促すというものです。企業献金はまさに「金で政治を買う」ものです。財界団体を代表する経団連が献金に関与すれば、文字通り巨大な経済力で政治を左右することになります。政治をゆがめ、主権者である国民の政治参加を狭める危険は重大です。民主主義を破壊する、経団連の献金関与の再開は中止させるべきです。
政・財界癒着の温床
かつて「財界の総本山」と呼ばれた経団連は、業界団体ごとに自民党への献金額を割り当て、献金をあっせんしていました。文字通り自民党の一党支配を支える、財界による政治への介入・支配です。経団連の献金あっせんは、政・財界癒着の温床と呼ばれました。
政治の主権者ではなく選挙権を持たない企業の献金は、経済力にモノをいわせて、国民主権を破壊することにしかなりません。企業はもともともうけるのが目的で、もうけにつながらない献金をすれば経営者は背任の罪に問われ、献金がもうけにつながれば贈収賄罪にもなります。企業献金はまさに政治腐敗の根源です。
政治資金制度についての政府の審議会などでの検討でも、企業献金は全廃すべきことが、繰り返し指摘されてきました。
経団連の企業献金あっせんは、献金と企業との関係をわかりにくくするためなどといわれましたが、企業献金廃止の声が高まるとともに、経団連も献金あっせんから手を引かざるをえませんでした。経団連が1993年9月の会長・副会長会議で決議した「企業献金に関する考え方」は、「企業献金に依存しない仕組みづくり」を主張しています。一時導入した経団連が政党の政策をランク付けし、企業に献金を促すやり方も、いまは中止しています。
実際には経団連があっせんを中止したあとも企業の献金はなくならず、自民党などは献金廃止を条件につくられた、税金で賄う政党助成金との“二つの財布”をもっています。そうであっても、経団連が献金関与の再開をいいだせなかったのは、企業献金への国民の批判が無視できなかったからです。
経団連が献金への関与を再開しようとしているのは、自民党の政権が復活し、政治との関係を強化しようとしているためです。とりわけ今年6月会長に就任した榊原氏は「政治との連携強化」を公言しています。安倍政権が内閣改造直後、政府の経済運営の司令塔になる経済財政諮問会議の民間議員に榊原氏を就任させたのも、密着ぶりを浮き彫りにしています。
財界本位の政治の見返り
榊原氏が会長の経団連は、安倍政権の改造直後の「新内閣に望む」でも、法人実効税率の引き下げ、原子力発電所の早期再稼働、消費税率の着実な引き上げなどを求めています。経団連の企業献金関与の再開の見返りにこうした国民に反対の多い政策が実行されることになれば、政治のゆがみがますます激しくなります。
「金で政治を買う」経団連の献金関与再開をやめるのはもちろん、企業献金は直ちに廃止することこそ求められます。