2014年9月13日(土)
主張
経団連の献金関与
出す側・貰う側 責任問われる
大企業中心の財界団体、経団連(榊原定征(さだゆき)会長)が企業献金への関与を再開し、会員の企業や業界団体に献金を促すことを正式に決定しました。財界の「通信簿」として悪名が高かった政党への政策評価も再開します。財界が政党の政策を採点し企業献金の額を左右するなど、「政策を金で買う」行為そのものです。もともと企業献金は金権腐敗の温床であり、直ちに廃止すべきです。企業献金を受け取る自民党の谷垣禎一幹事長は「呼びかけはありがたい」といっていますが、うさんくさい金を出す側も貰(もら)う側も責任を免れません。
「政策を金で買う」行為
企業献金への関与再開にあたっての経団連の発表は、「民主政治を適切に維持していくためには相応のコストが不可欠」であり、企業献金は「企業の社会貢献の一環として重要性を有する」と主張しています。企業献金が数々の金権腐敗事件を引き起こし、規制と禁止が国民世論になり、関与を中止した経緯を無視した、開き直りです。
企業が政党や政治家に政治資金を提供する企業献金は、ボランティアへの資金提供やお祭りの寄付のような「社会貢献」とは違います。政治の主人公は国民であり、政治資金の提供も参政権を持つ国民の権利です。企業は主権者でない以上参政権はなく、その企業が献金し、金にものをいわせて政治を牛耳れば、国民の政治参加を邪魔することにしかなりません。
それでなくても利益が目的の企業の献金は、献金に見合う利益が上がらなければ経営者が株主から責任を追及され、利益に結びつけば贈収賄の罪にも問われます。まさに金権腐敗政治の温床です。献金の総額が規制され、政治家個人への献金が禁止されるようになったのもそのためです。経団連の献金関与の再開は、金権腐敗政治を促進しようというのか。
経団連が政党の政策を評価し企業に献金を促せば、献金がクリーンになると経団連はいいたいようですが、経団連が気に入った政党には献金を集中するのは文字通り「政策を金で買う」行為です。個々の企業の献金より悪質ともいえます。企業献金が財界の望む政治の見返りであることが公然化するだけで、クリーンとは無縁です。
経団連は献金への関与再開を決めた前々日、来年度税制改正についての提言を発表し、来年10月からの消費税の増税を「着実に」おこなうことや、法人実効税率を来年度まず2%引き下げることなどを要求しました。こうした財界本位の政治に熱心な政党にはたくさん献金させるというのは、まさに財界の政治支配そのものです。
企業献金受けぬ党こそ
経団連の企業献金関与の再開に対し、自民党本部で9日、榊原会長らと会った谷垣幹事長が「自発的な政治寄付の呼びかけは大変ありがたい」と発言したのは見過ごしにできません。度重なる金権腐敗事件にもかかわらず、自民党はいまだに企業献金を受け取り続け、禁止された政治家個人への献金も「政党支部」の名目で受け取っています。経団連の献金を「ありがたい」というのは、金権腐敗政治を一掃する気がない証明です。
日本共産党は企業献金も税金で賄う政党助成金も1円も受け取りません。企業献金を全廃してこそ、財界と腐れ縁のない国民本位の政治が実行できるのは明らかです。