2014年10月12日(日)
主張
経団連の政党評価
献金関与再開の本音が見える
企業の政治献金への関与再開を決めた経団連(榊原定征(さだゆき)会長)が、政党の政策や実績を評価した「政策評価」を発表しました。経団連会員の大企業や業界団体に企業献金を促す「参考」にするのが目的です。点数やランクで評価する通信簿方式は見送ったものの、自民党と公明党の与党を高く評価しているのが特徴です。経団連が評価の対象にしたのは法人税の減税や原発の再稼働であり、財界・大企業がなにを狙って献金を拡大しようとしているのかを浮き彫りにしています。
「政策を金で買う」異常
経団連はかつて会員の企業や業界団体に目標額を示して企業献金をあっせんしたこともありました。金権腐敗政治の温床になるとの批判で中止し、政党の評価を通信簿方式で評価して献金を促進するやり方も、5年前からやめています。今年6月榊原氏が会長になり、献金への関与を再開したのは、政治との連携を強化するというふれこみです。
政党の政策評価はその一環です。財界の要求に照らして政党の政策や実績を評価し、それを「参考」に献金を促進するというのは、まさに経団連の献金関与が「政策を金で買う」買収だということを浮き彫りにしています。
重大なのは今回の政策評価の中身です。評価は、経団連が今年の事業方針で示した項目にそって各政党の実績などを見たものです。自民党については法人税の減税で「法人実効税率を20%台まで引き下げる」としていることや、原発の再稼働を「明言している」ことを評価の対象にあげています。消費税についても8%に引き上げたことを評価し、10%への着実な引き上げを課題としています。公明党についても、成長戦略で「経済の好循環」に取り組んでいることなどを評価しています。
総じて「自由民主党を中心とする与党は、日本経済の再興に向けた政策を着実に実行に移しており、高く評価できる」というのが経団連の判断です。あけすけにいえば、安心して献金を増やしてほしいということです。野党については民主、維新、次世代、みんな、生活を取り上げていますが、日本共産党は対象外です。日本共産党が財界と腐れ縁のない政党であることを浮き彫りにするものです。
法人税の減税や消費税の増税、原発の再稼働などは財界・大企業の強い要求ですが、国民の多数は支持していません。それどころか今年4月からの消費税増税が国民の暮らしも日本経済も痛めつけているのに、これ以上大企業の税金は負けてやり消費税を再増税するのかと、国民の怒りは噴出しています。経団連が政党の政策を評価し、財界の眼鏡にかなった政党には献金を増やすのは、大企業本位の政治のゆがみをますます激しくするものでしかありません。
出す側、もらう側中止を
もともと政治の主権者でなく参政権がない企業が献金し、金の力で政治を左右するのは、国民の政治参加を邪魔するものでしかありません。経団連が献金への関与を再開し、自民党など与党がそれをもらい続けるのは、安倍政権に国民にまともな政治をする立場がないことを証明するものです。
国民本位の政治のためには、企業献金を出す側も、もらう側も、直ちにやめることこそ不可欠です。