2014年10月21日(火)
安倍内閣 相次ぐ閣僚辞任
開き直りは許されない
政権打倒の声 大きく
安倍晋三首相が9月の内閣改造で掲げた「女性の活躍」の象徴とされた女性閣僚のうち2人が、「政治とカネ」をめぐる問題で、1カ月半の短命で辞任に追い込まれたことは、安倍政権への重大な打撃です。安倍首相の任命責任が厳しく問われるとともに、小渕、松島両氏には疑惑の全容解明責任と議員資格も問われます。閣僚の辞任で幕引きとすることは許されません。(中祖寅一)
閣僚の「政治とカネ」をめぐっては、江渡聡徳防衛相にも政治資金収支報告書の訂正問題、ウソの説明で7万人から資金を集めて被害を出した安愚楽(あぐら)牧場からの献金を受けていた西川公也農水相の問題、塩崎恭久厚労相には特養老人ホームの開設許可をめぐる口利き疑惑など、続出しています。
旧態依然さ露呈
小渕氏の後援会が地元支援者に観劇や弁当のサービスを格安で提供していた疑惑が収支報告書で明らかにされましたが、これは利益誘導・供与で政治家としての地位を維持するという、旧態依然たる自民党の体質を示すものです。
松島氏は、公職選挙法違反の疑惑を追及した野党質問を「雑音」などと表現。自民党支持者からも「あまりにひどい」との声が出ていました。松島氏への告発は辞任した20日になって検察に受理され、辞任しなければ法相が検察の捜査を受けるという異例の状況になるところでした。
こうした事態の根底には、「政治とカネ」をめぐる自民党の無反省な体質が横たわっています。
自民党は、経団連が自民党への政治献金再開を決定(9月)すると、「ありがたい」「議会制民主主義の健全な発展に必要なコスト」(谷垣禎一幹事長)と感謝。賄賂性をもち政治腐敗の温床となってきた企業献金を当然のように受け取る態度です。1995年の政党助成金制度の導入時に、企業献金廃止の方向が決められましたが、その後、企業献金の廃止は実行に移すことなく放置され、日本共産党以外の各党が政党助成金と企業献金を二重取りする状態が今日まで続いてきました。
真剣な反省なく
安倍首相は小渕、松島両氏から辞表提出を受理した理由について「まさに政治の停滞は許されない、後任を急ぎ選定し、新たにそうした課題に取り組む」と述べました。国民に政治不信をもたらしたことへの真剣な反省はなく、「行政、政治に遅滞があってはならない」と暴走政治加速を理由に決断したのです。現に松島氏は記者会見で、「法に触れることをしたとは考えていない」と開き直り、谷垣幹事長も「脇を固めていく」と方向違いの“反省”コメントをしています。
秘密保護法と集団的自衛権行使容認の解釈改憲、原発輸出と再稼働、消費税10%増税など、安倍政権の主要政策のほとんどすべてに国民多数が反対しています。その国民の声に耳を貸さず、強権姿勢を強める安倍政権に怒りが渦巻く中、政治腐敗で信頼がさらに揺らげば政権運営に危機的状況をもたらすのは必至です。今こそ、安倍内閣打倒の声を大きく広げるときです。