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2014年10月24日(金)

カジノは警察利権に

議連 「査察官」規定を削除

官僚組織にすりより

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 刑法が禁じる賭博場・カジノの合法化を推進している超党派のカジノ議連(「国際観光産業振興議員連盟」、会長・細田博之自民党幹事長代行)が、カジノ解禁推進法案に関連して提示している「基本的な考え方」で、警察庁の関与を排除する目的で独自のカジノ規制機関を設けるとした規定を削除したことが23日までに、本紙の調べでわかりました。その思惑通りすすめば、日本のカジノの巨大な利権に、警察組織が関わることになります。


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(写真)カジノ議連の「基本的な考え方」から削除された「査察官」制度についての項目(議連総会資料から)

 カジノ議連が昨年11月の法案決定と同時に提示した「IR(カジノを中核とする統合型リゾート)実施法案に関する基本的考え方」は、カジノの運営を規制・監視する機関として内閣府の外局に「カジノ管理委員会」を設置、具体的な犯罪や不正行為を摘発するために逮捕特権を持つ「査察官」制度を設けるとしていました。

 同議連が今月16日開いた総会ではこれが修正され、カジノ管理委員会は「都道府県警察と協力の下」任務にあたるという文言を挿入。査察官制度についてのべた項目は削除されました。

 これについて、カジノ合法化後の制度を検討している内閣官房の特命担当参事官は「管理委員会が自ら捜査することはないということ。必要があれば警察にお願いして捜査してもらうことになる」とのべています。

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(写真)カジノ議連総会=16日、国会内

 議連幹事長の岩屋毅自民党衆院議員は総会で、「現行の警察制度、司法制度とあまり整合する形ではないだろうということで、管理委員会と警察が協力して対応するという中身に変えた」とのみ説明しました。

 議連事務局長の萩生田光一自民党衆院議員は9月29日、海外メディアのインタビューにこたえ、「(最近は政府が)どうせなら警察が責任を持ってやると言っている」とのべ、政府内からの働きかけで修正をしたことを認めています。

法案取り下げを

 和田聖仁弁護士の話 もともとカジノ法案への反対勢力にまわりかねない官僚を抑えるために、ここにきて官僚組織にすりよったということでしょう。「カジノを利権事業にならないようにする」とあれほどいってきたのに、どっぷり利権につかるものにスキームがかわった。これでは、カジノ法案は取り下げるしかないと思います。

解説

「第二のパチンコ」必至

 日本の公営賭博は、中央競馬・地方競馬は農林水産省、競艇は国土交通省、競輪・オートレースは経済産業省、宝くじは総務省、サッカーくじは文部科学省がそれぞれ縦割りで所管し、官僚の利権と天下りの温床となっています。賭博ではなく「遊技」として警察庁が管轄するパチンコ・パチスロ業界も同様です。

 カジノ議連は各地の推進派集会で、カジノという新しい賭博を開設するには、省庁と国会議員が利権で規制してきたこれまでの枠組みではなく、透明で公正なまったく新しい枠組みをつくると宣伝してきました。カジノ議連の実質的な顧問で、法案起草にもかかわった大阪商業大学客員教授の美原融氏は最近も、「特定の省庁に最初から規制措置をぶら下げることをしてはいけない」「警察は規制措置にしない。パチンコ業と賭博をいっしょの省庁で管理するのは適当でない」(7月31日、大阪市内での講演)と公言しています。

 カジノ議連は、カジノには暴力団などの介入、不正や犯罪の恐れがあるから、政府による厳格な規制が不可欠だとしています。その規制の中心に警察庁が座る以上、日本のカジノは「第二のパチンコ」、巨大な警察利権になることは火を見るより明らかです。

 (竹腰将弘)


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