2014年10月31日(金)
小渕議員の責任重大 観劇会の巨額収支差額 なぜ
元秘書宅強制捜査で緊迫局面
小渕優子前経済産業相をめぐる政治資金疑惑は30日、東京地検特捜部が小渕氏元秘書の折田謙一郎前群馬県中之条町長(66)の自宅などへの強制捜査に着手したことで、いっそう重大な局面を迎えました。
次々と乱脈ぶりが明らかになる小渕氏の政治資金。なかでも特捜部が関心をもっているとみられるのが、関係政治団体の政治資金収支報告書に記載された東京・明治座の観劇会の収入と支出の大きな差額です。2010年、11年の収入は742万円にたいし支出は3384万円。2642万円もの差額があるのです。
さらに12年は観劇会を実施したにもかかわらず、収支報告書に収入も支出もまったく記載されていません。
問われる「原資」
小渕氏側が差額分を立て替えていたとすると公職選挙法の「違法な寄付」や供応接待にあたります。
逆に小渕氏が主張するように参加者から1人1万2000円の参加費を徴収し、1回に2000人が参加していたとすれば2年間で4800万円の会費収入となり、収支報告書への不記載で政治資金規正法に抵触します。
また、小渕氏側が負担した差額の原資が政治団体を迂回(うかい)した企業・団体献金やパーティー券だとすると、これも重大問題です。(図参照)
折田前町長は小渕氏の父、故恵三元首相時代から長年秘書を務めてきた“国家老”的な存在。秘書時代から知る国会議員秘書は、こう指摘します。「実力者である折田さんが会計処理を取り仕切っていたのは事実だと思う。しかし、小渕議員がまったく知らないというのはあり得ないのではないか。議員にとって政治資金の不備は自分に直接はねかえる問題。少なくともなんらかの“異変”には気づいていたのではないか」
政治資金規正法は、「基本理念」のなかで政治団体について「その責任を自覚し、その政治資金の収受に当たっては、いやしくも国民の疑惑を招くことのないよう」にすることを求めています。
任命権者は首相
小渕氏は、経産相を辞任しましたが、その辞任会見で「私自身、わからないことが多い」などとのべ、自らの責任をはっきりと認めてはいません。収支報告書に記載されなかった数千万円のカネの流れについても不明のままです。
閣僚の疑惑続発にもかかわらず、任命権者である安倍首相は、「『撃ち方やめ』になればいい」などと無責任な態度に終始していますが、そんな事態ではないことは明らかです。
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