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2014年11月8日(土)

ルクセンブルク 極秘の取り決め

世界343社に税優遇

日興証券など日系企業も

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 【パリ=島崎桂】「国際調査ジャーナリスト・コンソーシアム」(ICIJ=本部、ワシントン)は6日までに、独自に入手した2万8000ページに上る資料を基に、ルクセンブルク当局と日系企業を含む世界の大企業343社が、課税額を大幅に減額する極秘の取り決めを結んでいたとの調査結果を発表しました。


欧州委員長責任問う声

 343社には、日興コーディアル証券(現SMBC日興証券)、あおぞら銀行、日本板硝子、パロマの関連会社をはじめ、米保険大手AIGや米飲料大手ペプシコ、独銀行最大手ドイツ銀行、スウェーデン家具大手イケアが含まれています。

 ICIJによると、これら企業の多くは、事業実態のない子会社をルクセンブルクに設立し、他国で得た利益を同社に経費として支払うなどして、総額数十億ドル(数千億円)の租税を回避していました。同一住所に約1600社が登録していた事例もあったといいます。

 また、租税回避策の考案にあたっては、多くの場合、世界最大規模の会計会社プライスウオーターハウスクーパース(本社、ロンドン)が助言していたといいます。

 ICIJが入手した資料は、ルクセンブルク当局と企業が2002〜10年に結んだ取り決めを示したもの。同期間中に首相兼財務相を務めていたユンケル氏は、今月1日から欧州連合(EU)の首相にあたる欧州委員会委員長を務めています。

 増税や社会保障の削減など緊縮政策が続く中、欧州各国民の間では近年、一部の大企業による課税逃れへの不満が高まっています。今年6月、アイルランド、オランダ、ルクセンブルク各国当局が、特定企業に適用した優遇税制策の違法性調査を開始していました。

 今回発覚した取り決め自体に違法性はないものの、EUを主導する立場のユンケル氏による課税逃れへの加担が判明したことで、今後、同氏への追及や不信の高まりは避けられません。

 欧州各国の共産党や左派政党が所属する欧州議会会派「欧州統一左翼/北欧緑左翼」のツィンマー代表は6日、「このような政府と企業によるご都合主義の関係が、一体どれだけ続くのか」と批判。7日のEU財務相会議で、今回発覚した問題と、企業による課税逃れを集中的に討議するよう求めました。環境政党会派からも、ユンケル氏への批判と問題追及の要求が出ています。


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