2014年11月22日(土)
米大企業が6700億円献金
見返り513兆円、758倍に
07〜12年 200社をNPO検証
【ワシントン=洞口昇幸】米国の大企業200社について、2007〜12年の6年間に連邦議員への政治献金やロビー活動に合計58億ドル(現在のレートで約6763億円)を投入する一方で、政府契約の事業や政府の助成・救済制度などから投入額の約758倍、4兆4000億ドル(同約513兆円)の“恩恵”を得ていたことがわかりました。
米国の非営利団体「サンライト基金」が17日に発表したもので、大企業がカネで政府を動かし、膨大な見返りを得るという構造を示しています。200社が得た恩恵の原資は税金。その額は同期間に個人納税者が政府に支払った6兆5000億ドルの約3分の2に相当します。
さらに同基金は別のシンクタンクの調べも示し、200社のうち89社が08〜12年に税制優遇措置を受け、本来の法人税率35%が平均17・7%に引き下げられていることも指摘しています。
恩恵額が特定できた179社について、献金・ロビー活動費の10倍以上の恩恵を得たのは73社、1000倍以上だったのは29社に上っています。
200社のうち、金融・保険・不動産関連の企業が最多で48社。「一貫して政治家の最大の選挙資金源となっている」と指摘されています。第1位の金融大手ゴールドマン・サックスは3800万ドルの投入で、2294億ドルもの恩恵を得ています。2位はバンク・オブ・アメリカでした。
次に多いのがマイクロソフトなど通信・電子機器の28社。ロッキード・マーチンや無人機で有名なノースロップ・グラマンなど軍需企業も上位でした。
米国では10年、最高裁が法人による選挙運動を容認する判決(通称シティズンズ・ユナイテッド判決)を出しました。それを受けて、企業・団体が無制限な政治献金を行うようになっています。
同基金のゲーツ代表は「この調査が、政治における増大するカネの否定的役割についての、広範な議論につながることを望む」と述べています。