2014年11月30日(日)
鹿児島とくのしま漁協が全会一致 辺野古土砂搬出に反対
“世界遺産”逆行の環境破壊
町「決定を尊重」
県「許可出せぬ」
沖縄県名護市辺野古への米軍新基地建設に伴う埋め立て土砂の調達が計画されている鹿児島県徳之島町の南原海岸で、6000トン級の土砂運搬船が停泊できる130メートルの「仮設桟橋」の建設が計画されていることが分かりました。
同海岸に漁業権を持つ、とくのしま漁協は7日の理事会で、「環境破壊につながり、原状復帰は不可能」として建設に同意しないことを全会一致で決定しました。徳之島町は当初、容認の姿勢も見せていましたが、本紙に対して「漁協の決定を尊重する」と回答。鹿児島県も「漁協の同意がない以上、桟橋建設のために海岸の占用許可は出せない」としています。
防衛省沖縄防衛局が昨年提出した辺野古の埋め立て申請書によれば、沖縄県内に加え、西日本の7地区(瀬戸内、門司、五島、天草、佐多岬、奄美大島、徳之島)からも土砂を調達する計画です。沖縄に最も近い徳之島での反対の動きは、安倍政権への大きな打撃になります。
防衛省からの委託を受けたと見られる業者の動きは今年夏ごろから強まり、これまでに漁協や徳之島の3町長(徳之島町、伊仙町、天城町)に計画を提示しました。それによれば、土砂採取量は、同島北部の金見と南部の南原両採石場で合計350万立方メートル。2015年度から20年度まで、辺野古の新基地建設で土砂を供給する計画です。
これらの土砂を運搬するために総工費10億円で「仮設桟橋」を建設。金見では新たに山を切り崩して土砂を増産します。
とくのしま漁協の元田隆丸組合長は「現代を生きる者の責任として、子や孫に残すべき徳之島の美しい自然を売ってしまうことはできない。県民あげて奄美諸島を世界遺産に登録しようとしている中で、それに逆行する環境破壊は許されない」と指摘しています。
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