2014年12月8日(月)
被爆者実体験 ウィーンで「聞く会」
涙流す参加者も■「自国に伝えたい」
NGO関連行事
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【ウィーン=島崎桂】オーストリアのウィーンで6日に始まった「核兵器廃絶国際キャンペーン」(ICAN)の「市民社会フォーラム」の中、「被爆者の話を聞く会」が開かれ、日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)の田中熙巳(てるみ)事務局長と藤森俊希事務局次長、カナダ在住のサーロー節子さんがそれぞれの被爆体験を語りました。
家族とともに広島で被爆した藤森氏は、被爆から数十年後に後遺症で亡くなった姉や、白血病を発症した被爆2世の甥(おい)の死にふれ、「原爆は被爆者に執拗(しつよう)につきまとい、とどめを刺すまで苦しめる」と強調。二度と被爆者を生みたくないとの思いで被爆体験を語り続けた母親の意思を継ぎ、自らも被爆体験を語る決意をしたと明かしました。
サーロー氏は、体の一部を無くした人々や、皮膚が溶けて垂れ下がった人々の隊列など、被爆直後に見た光景を克明に語りました。
被爆者の高齢化にふれ「残された時間は少ない」と述べた田中氏は「きょう聞いた話を多くの人に伝えてほしい」と要望。「核によって自国を守るという考えを国民が捨てれば、政府は実行せざるを得なくなる」と述べ、核兵器廃絶への協力を呼び掛けました。
参加者の中には、被爆者の話に涙を流す人も。ノルウェーから参加したマリアンヌ・ベンナースベルグさん(26)は「初めて聞く被爆者の実体験に恐怖を感じた。反核の世論を強めるため、被爆者が感じた痛みや苦しみを自国でも伝えていきたい」と語っていました。