2014年12月10日(水)
「核の非人道性会議」開幕
核兵器による被害議論
160カ国、米英が初参加
オーストリア
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【ウィーン=島崎桂】「第3回核兵器の人道的影響に関する国際会議」が8日、オーストリアのウィーンで開幕しました。2日間にわたり核兵器の使用や実験がもたらす人体や環境、経済、社会への被害を議論します。160カ国から専門家や政府・市民団体の代表ら800人以上が参加。核保有国からは、第2回会議(2月、メキシコ・ヌエボバジャルタ)から参加したインド、パキスタンに加え、新たに米国、英国が初参加しました。
開幕式では、議長を務めるオーストリアのクルツ外相が「われわれには自らと将来世代のため、核兵器が二度と使われないよう最善を尽くす責任がある」と強調。広島で被爆したカナダ在住のサーロー節子さんがその体験を語りました。フランシスコ・ローマ法王が、核関連予算を無くし、貧困対策を強化するよう求めるメッセージを寄せました。
初日の議論では、各分野の専門家の報告にもとづいて、▽核兵器爆発の影響▽核兵器使用のリスク▽核兵器使用に関するシナリオ、課題、対処能力―の3点を話し合いました。
このうち核兵器使用のリスクに関して、核戦争の勃発や不慮の事故、サイバー攻撃の恐れから「核爆発の可能性がゼロではないこと」が問題となりました。講演者からは「可能性をゼロにする方策は、核の全廃以外にない」、「核戦争が起こった時点でチャンスは無くなる。だからこそ核廃絶は緊急の課題だ」といった発言が続きました。
一方、米政府代表は「核兵器禁止条約を支持しない」と表明。同条約の交渉開始については、非核保有国130カ国以上が支持しています。
核保有または保有が疑われる国では、フランス、ロシア、中国、イスラエル、北朝鮮が会議に不参加です。