2014年12月11日(木)
核兵器の非人道性会議
禁止条約 合意求める
オーストリア 議長総括が強調
【ウィーン=島崎桂】オーストリアのウィーンで開かれた「第3回核兵器の人道的影響に関する会議」は9日、「核兵器のない世界の達成と維持に向けた次の段階」への移行を呼び掛ける議長総括を発表し、閉幕しました。広島・長崎被爆70周年と核不拡散条約(NPT)再検討会議を来年に控え、核廃絶の具体化を求める内容となっています。
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オーストリア政府の責任でまとめられた総括は、2日間にわたる専門家や核被害者の報告を基に、「核兵器が存在する限り核爆発の可能性は残る」と指摘。核爆発は人体や環境、社会、経済に「深く長期的なダメージ」を与え、「人類の生存さえ脅かす」と強調しました。
核兵器廃絶の方策については「政府代表の多数派が、核兵器禁止条約を含む法的枠組みの合意を通じて追究すべきだと強調した」など、参加各国の提案、要望を盛り込みました。
総括を前に約80カ国の政府代表が発言した一般討論では、日本原水爆被害者団体協議会(被団協)の田中熙巳(てるみ)事務局長が最初に発言。「使用を前提として核兵器を容認する核抑止は、人類の破滅につながります」「核兵器が使用されない保証は、核兵器が存在しないことです」と述べ、核兵器の全面禁止に向けた交渉開始を各国に求めました。
日本政府代表は「核軍縮に近道はない」と主張。核兵器禁止条約には触れませんでした。
会議には約160カ国・機関が参加。核保有国では米国、英国、インド、パキスタンが初参加したほか、中国からは民間のシンクタンクが参加しました。