2014年12月20日(土)
主張
「政治とカネ」疑惑
選挙結果は「みそぎ」にならぬ
総選挙の直前、安倍晋三政権で相次いで発覚した「政治とカネ」の疑惑。現職閣僚2人の辞任に続いて閣僚などの問題発覚が相次ぎ、突然の衆院解散は「疑惑隠し」のねらいかとまでいわれました。総選挙の結果、閣僚を辞任した小渕優子前経済産業相や松島みどり前法務相をはじめ名前があがった閣僚は再選されましたが、選挙で「みそぎ」はすんだとするわけにはいきません。政治資金の不正・違法な支出や政治資金収支報告書の虚偽記載は重大な犯罪であり、ひきつづく解明が不可欠です。
解明すべき疑惑が残る
後援会が毎年行ってきた観劇会の収入と支出の報告が大幅に食い違い、政治資金で代金を立て替えていたのではないかと、公職選挙法に違反する利益供与や政治資金規正法違反の虚偽記載などが疑われた小渕前経産相は、閣僚を辞任しただけで事実関係については説明せず、総選挙に立候補しました。選挙中は「もう一度スタートラインに立って、一からやっていく」などと発言しましたが、当選後のいまに至るも説明がありません。
観劇会の収支の食い違いだけでも5000万円を超しており、親族企業からの物品購入やワインなどを選挙区内で配っていた疑惑もあります。検察の捜査とは別に、疑惑が残っている以上、小渕氏には事実を明らかにし、国民に説明する責任があります。
選挙区内の盆踊りなどで「うちわ」を配ったとして、公選法違反の利益供与や買収の疑いをもたれた松島前法相は、閣僚は辞任したものの、「うちわ」配布が法律に違反していたことさえ認めようとしていません。松島氏も選挙中は「おわび」を繰り返しましたが、おわびする以上、自らの行為が法律に違反するかどうかぐらいははっきりさせるべきです。
公職選挙法で、選挙区内での寄付や有権者に対する買収はきびしく禁じられています。政治家が自らの政治資金を正しく報告・公表し、国民の不断の監視を受けるため、政治資金規正法では報告書の虚偽記載自体、5年以下の禁錮などの厳罰です。国会の倫理綱領では、議員は疑惑をもたれればまず自らそれを解明することが求められており、選挙で再選されるかどうかなどとは別の問題です。疑惑が残っている以上、自ら解明するのは政治家としての責任です。
安倍政権では閣僚を辞任した2人以外にも、江渡聡徳防衛相、西川公也農水相、望月義夫環境相、小渕氏の後任の宮沢洋一経産相など多くの閣僚が政治資金の不明朗な支出や政治資金収支報告書の虚偽記載などの疑いが指摘されています。一部の閣僚は報告書を訂正していますが、それで終わりというわけにはいきません。疑惑はすべて国民の前に解明すべきです。
灰色閣僚の留任許されぬ
24日に召集の特別国会で首相に再任されるとみられる安倍首相は、現在の閣僚をそのまま留任させるといわれていますが言語道断です。疑惑解明もなく灰色閣僚を留任させればそれこそ安倍政権がふたをしたことになります。
「政治とカネ」をめぐり後を絶たない疑惑は、腐敗の温床である企業・団体献金と税金頼みの政党をつくるだけの政党助成金の有害さを浮き彫りにしています。企業・団体献金も政党助成金も無くしていくことが求められます。