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2014年12月31日(水)

安倍首相に消えぬ任命責任

火種残る「政治とカネ」

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 安倍首相は、「政治とカネ」の問題を抱えた江渡聡徳防衛相を再任せず、第3次安倍内閣は発足させましたが、これで終わりとはなりません。秋の臨時国会で追及された閣僚、辞任した前閣僚らは、引き続き国会などで疑惑解明に向けた説明責任を果たすことが求められています。(藤沢忠明)

 総選挙で閣僚のうち、唯一、小選挙区で落選、比例で復活した西川公也農水相。和牛オーナー制度が行き詰まり、経営破綻した安愚楽(あぐら)牧場からの計125万円の献金は返金しましたが、二つの親族企業から事務用品やスタッドレスタイヤなどを購入していた政治資金還流疑惑があります。

 親族企業への政治資金の支出は、2010〜12年の3年間だけで約158万7000円にのぼります。問題は、原資に国民の税金である政党助成金も含まれていることです。

 しかも、西川氏が支部長を務める「自民党栃木県第二選挙区支部」の政治資金収支報告書(10〜12年)にかかわる領収書を本紙が情報公開請求で入手、分析した結果、公職選挙法に抵触する疑いが浮上しました。

 たとえば、親族企業の一つ「NA企画」への「お土産代」「お歳暮」「お礼」という計19回の支出のうち、17回、総額28万9800円が「カレーギフト代」だったことです。大量のカレーギフトが、選挙区内の有権者に「お歳暮」「お礼」などという名目で贈られていたとすれば、公選法が公職の候補者に禁じている「寄付」そのものになります。

 後援会の会合費など計約660万円の支出を賀詞交歓会の支出と偽って記載していた望月義夫環境相。「妻が(収支報告書に)記載していたが亡くなってしまい、どうしてこんな記載をしたか分からない」などと、虚偽記載を「亡くなった妻」のせいにしています。

 選挙後初の閣僚懇談会(16日)後の記者会見では「一切そういうことを振り切って、選挙をたたかい抜いた」と“みそぎ”はすんだとばかりの態度です。

 10年9月に資金管理団体「宮沢会」がSMバーに交際費名目で政治活動費1万8230円を支出していたことが明らかになった宮沢洋一経済産業相。

 「私は行っていない」と弁明し、秘書に弁済させたとして、10月28日、宮沢会の11年分の収支報告書を訂正し、つじつまをあわせました。

 電力業界を指導・監督する立場であるにもかかわらず、東京電力株を600株保有したままです。

 一方、前閣僚です。

 「観劇会」の収支の大きなずれが問題になっている小渕優子前経産相は、いまだに何の説明もしていません。

 そればかりか、東京地検特捜部が関係先を家宅捜索した際に、会計書類などを保存したとみられるパソコンのハードディスク(HD)がドリルで破壊されていたことが明らかになりました。「捜査にしっかり協力して、第三者による調査を進めたい」との弁明は偽りというしかありません。

 江渡前防衛相も日本共産党の井上哲士参院議員の調べで、新たに防衛副大臣、防衛相在任中に、防衛省の工事を受注していた企業から計108万円の献金を受け取っていたことが判明しました。

 疑惑の閣僚を任命した安倍首相の責任も厳しく問われています。


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