2015年1月19日(月)
予算案から見る
「消費税は社会保障に」?
「充実」わずか2割弱 大半は財源の置き換えに
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“社会保障のため”として消費税増税を強行しておきながら、社会保障の「充実」には増収分の2割も回っていない―。政府のウソが2015年度予算案から浮き彫りになっています。
安倍首相は、消費税増税による増収分は「すべて社会保障の充実・安定化に向ける」と繰り返してきました。
しかし、来年度の消費税増収分8兆2000億円(国と地方あわせて)のうち「充実」に充てると説明しているのは、1兆3500億円。増収分の2割にも届きません。
残りは、すでに他の増税措置で財源の手当てがされている「基礎年金の国庫負担2分の1」の財源(3兆円)や年金以外の費用(3・4兆円)、消費税増税による経費増(3500億円)に充てています。
これまで所得税や法人税などで賄ってきた財源を消費税に置き換えたのが大半です。
大企業や軍拡に
予算案では、法人実効税率を2年間で3・29%引き下げ、軍事費は史上最大の4兆9801億円に膨らんでおり、庶民から吸い上げ、大企業や軍拡に充てているのです。
もともと基礎年金の国庫負担は、すでに2004年〜2007年に年金課税の強化や所得税・住民税の定率減税縮減・廃止で財源を確保していたところに消費税増税分を回すものであり、国民にとっては“二重取り”です。
「充実」の中身は
しかも、政府が「充実」だという中身をみても、「病床機能分化」の名による“患者追い出し”の入院ベッド削減、安上がりの介護体制をつくり“介護難民”を増やす「地域包括ケア」の推進、保育の公的責任を後退させ、市場化・営利化を拡大する子育て新制度の推進などが盛り込まれています。
さらに、介護報酬の引き下げ、年金の連続削減、生活保護削減と軒並み負担増・給付減を行い、社会保障の自然増も8300億円(概算要求額)から4200億円に抑制しています。「充実」策として検討してきた低年金者への給付金なども10%先送りを口実に見送っています。消費税増税も社会保障削減も押し付ける安倍内閣の暴走ぶりが際立っています。(鎌塚由美)