2015年1月24日(土)
諫早干拓 国への制裁金命令確定
最高裁、国の抗告棄却
国営諫早湾干拓事業(長崎県)の潮受け堤防排水門の開門をめぐり、最高裁第2小法廷(千葉勝美裁判長)は22日付の決定で、開門するまで国に制裁金を支払うよう命じた佐賀地裁の判断を支持した福岡高裁決定について、国の抗告を棄却しました。一方、開門した場合に制裁金支払いを命じた長崎地裁の判断を支持した同高裁決定に対する国の抗告も、同日付で棄却しました。
これにより、国への制裁金命令が確定。国は開門するまでは漁業者に、開門した場合は干拓地営農者に、制裁金を支払わなければなりません。国は佐賀地裁決定を受け、既に漁業者への支払いを始めています。
反対派も交え協議を
馬奈木弁護団長
国営諫早湾干拓事業(長崎県)の潮受け堤防排水門をめぐり、開門するまでの国への制裁金支払い命令が確定したことを受け、開門を求める漁業者側の馬奈木昭雄弁護団長は23日、佐賀県庁で会見し、「極めて当たり前の結論だ。開門以外に道はない」と述べました。
一方で、国が開門しても、営農者に制裁金を支払う状況も確定しました。馬奈木団長は「開門による被害が出ないよう、裁判所で三者協議を行えばいい。国は反対派の意見を聴いた上で、対策工事をすべきだ」と述べました。
開門に向けた一歩
大浦漁協(佐賀県太良町)の平方宣清さん(62)の話 開門判決を守らない、制裁金も払わない、そんな国のでたらめで身勝手な言い分を断罪してもらったことで、私たちの主張が支持されたと、うれしい気持ちです。
今も有明海の漁業者は、その本職である漁業だけでは暮らしがままならない状況なのです。諫早湾干拓事業により海の環境が悪化し、不漁は年々深刻になり、貝類はほとんど取れません。
今回の決定は、開門に向けた一歩です。開門なくして有明海の再生はありません。国は開門することを真剣に考えるべきです。
国営諫早湾干拓事業 長崎県の諫早湾奥部3500ヘクタールを全長7キロの潮受け堤防で閉め切り、942ヘクタールの干拓地を造成した事業。堤防には南北2カ所の排水門があり、雨天の増水時などは開放して潮受け堤防内の農業用水の量を調整し、干拓地の水害を防ぐ仕組み。総事業費2530億円で、2007年に完成しました。