2015年2月24日(火)
首相の任命責任は重大
西川農水相辞任
「政治とカネ」問題かばい続けた末に
西川公也農水相の辞任は、安倍政権・自民党の「政治とカネ」問題の根深さと、この問題で国民にまったく向き合おうとしない堕落・腐敗ぶりを改めて示しています。
第2次安倍政権での昨年10月、自らの政治資金の疑惑が指摘された小渕優子経済産業相と、選挙区で「うちわ」を配布し公職選挙法違反で刑事告発された松島みどり法相が、相次いで辞任。国民的な批判に追い詰められた安倍晋三首相は解散・総選挙に打ってでましたが、自民党は小渕、松島両氏を公認、西川氏も身内企業からの献金が明らかになっていました。そして選挙後の第3次安倍政権で出たのが、国からの補助金受給企業などから献金を受けていたという西川氏の新たな「政治とカネ」の問題です。ただすべき機会はいくらでもありながら、問題を問題としてとらえず、やり過ごしてきたのがこの安倍政権でした。
西川氏の「政治とカネ」問題は今通常国会で野党側から追及されましたが、安倍首相は「西川大臣はきちんと説明している。問題があるとは思わない」とかばい続ける答弁を繰り返してきました。それどころか、衆院予算委員会で西川氏の問題が取り上げられると、「日教組はどうするんだ」と答弁席からヤジを飛ばし、「日教組は補助金をもらっていて、教育会館から献金をもらっている議員が民主党にいる」など事実無根の話を持ち出して攻撃するあり様でした。自身の任命責任さえ投げ捨てた姿です。
西川氏は辞表提出後、記者団に「私がいくら説明しても、わからない人にはわからない」と言い放ちました。辞任の理由は「これ以上、国会審議に影響を及ぼすことはできるだけ避けたい」というものです。安倍首相はこの西川氏の説明に「環太平洋連携協定(TPP)交渉、農協・農政改革に大いに力を発揮していただいた。ぜひとどまってその職を全うしていただきたいとお願いした」と慰留したといいます。居直る当事者、暴走政治のために引き続き職を全うせよという任命権者―「国民に丁寧に説明」(安倍首相)という言葉がいかに空虚なものかを示しています。
安倍首相は、小渕、松島両氏の辞任の際、「任命責任は私にある」と述べ、今回の西川氏の辞任でもそう発言しました。「任命責任」をその場しのぎの言葉で終わらせるなら、安倍政権への国民の批判はさらに大きなものになり、安倍政権がいっそう行き詰まることは必至です。
(高柳幸雄)