2015年3月1日(日)
西川前農水相
補助金会社との深い関係
07年から献金 落選中は「顧問」
「この事業継続」と大臣答弁
政治資金をめぐる数々の疑惑で辞任した西川公也前農水相が、国の補助金を受け取っていた木材加工会社「テクノウッドワークス」(栃木県鹿沼市)の顧問だったことは、あらたな疑惑を浮き彫りにしました。本紙の調べでは、西川氏が代表を務める「自民党栃木県第2選挙区支部」は、同社から判明しただけでも2007年から献金を受け取っており、その密接な関係についての説明責任が問われています。(藤沢忠明)
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西川氏は、辞任に先立つ23日の衆院予算委員会で、テクノ社からの献金問題に関し、「私が09年8月に落選し、経済的に大変な状況が長く続いたときに顧問という役職をいただいた」「浪人して1年ほどたってから私に対する支援が始まった」とのべ、落選中に同社の顧問を務めていたことを明らかにしました。
顧問料約950万円
テクノ社が林野庁の「森林整備加速化・林業再生事業」の補助金交付の決定を受けたのは、12年5月のこと。第2選挙区支部がテクノ社から300万円の献金を受け取ったのは、その4カ月後の同年9月20日のことです。政治資金規正法は、国の補助金を受けた企業や団体に対し、交付決定後1年間の献金を禁じています。献金した側も、補助金が交付されていることを知って献金を受け取った側も、「3年以下の禁錮または50万円以下の罰金」という罰則があります。
西川氏は、テクノ社が補助金を受けていたことについて、「当時は浪人中でそういうことは知らなかった」と釈明してきましたが、事業実績などを知りうる立場にある「顧問」だった西川氏は、補助金の受領を知らなかったのか、疑問が残ります。
しかも、西川氏は、10年8月〜14年8月まで、計約950万円の顧問料を受け取っていました。事実上の政治献金です。
総額12億円超に
本紙の調べによると、テクノ社は、07年にパーティー券を40万円分購入したのをはじめ、09年に100万円の献金、補助金交付後の13年1月には、社長名義で100万円の献金など、判明しただけで、計640万円の資金提供を第2選挙区支部にしています。(図参照)
この間、テクノ社は09年度に1億6100万円、10年度にも3億7000万円の森林整備加速化・林業再生事業の補助金交付を受けています。同社が受け取った補助金は総額12億円を超えます。
12年12月の総選挙で国政復帰をはたし、14年9月、第2次安倍内閣で農水相に就任した西川氏は、翌10月16日の参院農水委員会で、「できるかぎり、この事業が継続できるように努力をしてまいりたい」と答弁するなど、同事業を積極的に推進してきました。
落選中に「顧問」として処遇され、多額の献金も受け取り、補助金交付など、特定の企業のために便宜を図ったとすれば、その政治責任は重大です。「返金した」「辞任した」では、すまされません。
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