2015年3月5日(木)
主張
補助金企業の献金
責任明確にして全面禁止こそ
国から補助金などをもらっている企業からの献金が、辞任した西川公也前農水相や望月義夫環境相、上川陽子法相などで明らかになったのに続き、安倍晋三首相らも国会で追及を受ける事態となっています。各閣僚らは、補助金の交付が決まっていたのを知らなかったとか、問題にならない補助金だなどと言い訳していますが、知っていようがいまいが、税金の還流は明らかです。補助金企業から献金を受け取った政治家は事実を国民の前に明らかにし、責任を明確にすべきです。国会は一切の抜け道を許さないよう企業・団体献金の全面禁止を実現すべきです。
“税金の還流”は明らか
補助金などをもらっていた企業から献金を受け取っていた政治家は、これまで発覚しただけでも、安倍首相、西川前農水相、望月環境相、麻生太郎副総理・財務相、菅義偉官房長官、甘利明経済再生相など多数にのぼっています。野党でも民主党の岡田克也代表や維新の党の片山虎之助氏などの名前が上がっています。
政治資金規正法は国から補助金などをもらっている企業は交付の決定から1年以内は献金してはいけないと定めています。献金を受け取る政治家も補助金などが交付されることを知っていれば献金を受け取ることができません。違反すればいずれも、3年以下の禁錮または50万円以下の罰金という重い罰則が科せられます。
国から補助金などをもらっている企業からの献金が禁止されているのは、献金を通じて税金が政治家に還流し、補助金交付自体が献金の見返りと取られないためです。献金が発覚した政治家が、判で押したように、補助金の交付は知らなかったから違法でないなどと言い訳しながら献金を返上しているのは、献金が後ろめたいものであることを証明しています。
政治資金の公表は本来、政治家の政治活動が「国民の不断の監視と批判の下に行われるようにする」(政治資金規正法第1条)ことが目的です。国会議員の倫理綱領などに照らしても、疑惑が指摘された政治家が自ら事実を明らかにし、責任を明確にするのは当然です。違法ではないなどと弁解を重ね責任をあいまいにするのは、国民への開き直りそのものです。
問題になっているのはいずれも、政治家が代表を務める政党支部で受け取った献金です。企業・団体献金はもともと、税金で賄う政党助成金が導入されたとき廃止されるはずだったのに、助成金導入から20年たったいまも温存されています。政治家個人への献金は疑惑の温床になると禁止したのに、政治家が代表を務める政党支部ならいいという抜け道もまかり通っています。いまこそ企業献金全面禁止に踏み出すことが不可欠です。
抜け道への抜本策は禁止
補助金交付先企業から献金を受け取っていた政治家は、知らなかったなどの言い訳に加え、補助金は利益をともなうものでなかったとか、交付を決めたのは国ではないなどと違法性を免れようとしています。こうしたなか自民、民主などからは現行制度の部分的見直しですます論議も出ています。
しかし抜け道をふさぐ抜本的な対策は企業・団体献金の全面禁止です。疑惑の解明にも献金禁止にも消極的というのでは国民の信頼を裏切ることにしかなりません。