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2015年3月18日(水)

食料自給率目標引き下げ

農水省「基本計画」原案 50% ⇒ 45%に

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 農林水産省は17日、今後10年間の農業政策の方向性を示す「食料・農業・農村基本計画」の原案をまとめ、食料・農業・農村政策審議会企画部会に提示しました。「計画」原案は、供給熱量ベースの食料自給率の目標を50%から45%へ引き下げました。

 日本の食料自給率はこの数年、39%で推移しています。民主党政権下で2010年に決定された現行「計画」は、08年のリーマン・ショック前後の世界的食料危機も反映し、「中長期的な食料の確保に不安を抱かざるを得ない」として、08年度の41%から22年度50%へ自給率目標を引き上げました。これに対し、今回の「計画」原案は、「食料自給率の目標が現状を乖離(かいり)している状況となっている」として、13年度の39%から25年度に45%を目指す目標へ引き下げました。

解説

安定供給の責任顧みない農政

 農林水産省の「食料・農業・農村基本計画」原案が食料自給率目標を引き下げたことは、国民に対し安全な食料を安定して供給する政府の責任を顧みない安倍晋三政権の農政を如実に示しています。「計画」原案は、自給率向上に取り組まず、39%に低迷させている歴代政府の農政への反省もなく、従来の目標が現実的でなかったとして、目標を引き下げました。

 今日、気候変動の影響による食料生産の不安定化、新興・発展途上諸国での食料需要の急増、農産物市場への投機マネーの流入などで、世界の食料事情が不安定さを増しています。必要な食料がいつでも入手できる状況ではなくなっており、食料自給率の向上は急務なのです。

 「計画」原案はまた、世界の食料需給の見通しに関し、世界的規模での食料調達・販売が強まる傾向や、環太平洋連携協定(TPP)など経済連携の進展を指摘しました。2010年に決めた現行「計画」にはない言及で、「計画」原案がTPPなどを前提にしたものであることを示しています。

 (北川俊文)

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