2015年3月19日(木)
下村文科相と教育産業 蜜月
特区・民営校 受益企業が献金
05〜13年 1800万円超
任意団体による不透明な資金集めが問題になっている下村博文・文部科学相が代表の政党支部が、進学塾や予備校など教育関連企業から2005〜13年の9年間で1800万円を超す献金を受け取っていたことが本紙の調べでわかりました。
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下村氏は、東京都議を経て1996年の衆院選で初当選(現在7期目)、2004年9月に文部科学政務官に就任(05年11月まで)したのをはじめ、一貫して文教畑を歩いてきました。
本紙が調べたのは、下村氏が代表を務める「自民党東京都第11選挙区支部」の05年以降の政治資金収支報告書。当選回数を重ねるにつれ、企業・団体献金の顔ぶれが広がっていますが、目立つのは教育関連です。直近の13年の場合、企業・団体献金1280万円のうち、教育関連は4分の1近い305万円を占めています。
05〜13年の9年間では、教育関連の献金は総額1823万円にのぼりました。
株式会社が参入
問題は、どんな企業が献金しているかです。たとえば、05年10月に設立された「学校設置会社連盟」(現・新しい学校の会)の会員企業。
利潤追求を目的とする株式会社は、学校教育法で学校を設立することはできませんでしたが、下村氏は、小泉政権がすすめた「規制緩和」の教育特区の担当者として、株式会社の学校参入を可能にしました。下村氏は同年12月に同連盟の顧問に就任しましたが、第11選挙区支部は、第一学院高校の設置会社「ウィザス」から計108万円の献金を受け取るなどしています。
下村氏は12年12月に文科相に就任すると、本格的に「公設民営」学校にとりくみました。安倍首相がすすめる「アベノミクス」の「第3の矢」である規制緩和策に「公設民営」が13年11月の閣議決定で盛り込まれました。下村氏は、閣議決定後の会見で、「(自民党内でも)8割ぐらいが反対でしたが、これは最終的には一任」を取り付けたと、得々と語っています。
この過程で、新しい学校の会の理事長で、「ルネサンス・アカデミー」の桃井隆良社長が、同年7月の国家戦略特区のワーキンググループで意見をのべ、9月の会合でも公設民営を力説。第11選挙区支部は、同年4月、ルネサンス・アカデミーから6万円、同年6月、同社の親会社「ワオ・コーポレーション」から50万円の献金をしています。
適格性に疑問符
10日の衆院予算委員会分科会で、下村氏の疑惑をとりあげた日本共産党の宮本岳志議員は、「業界と癒着して、教育行政をゆがめたのではないか。こう疑われても仕方がない」と追及しました。「民間教育はいまがビッグチャンス」などとあおってきた下村氏と関連業界との密接すぎる関係は、大臣の適格性が問われる重大問題です。