「しんぶん赤旗」
日本共産党
メール

申し込み記者募集・見学会主張とコラム電話相談キーワードPRグッズ
日本共産党しんぶん赤旗前頁に戻る

2015年4月21日(火)

移民船事故 今年1500人超死亡――「人道的観点で行動必要」

EUが緊急会合

このエントリーをはてなブックマークに追加 Yahoo!ブックマークに登録 mixiチェック

図

 【パリ=島崎桂】地中海で不法移民船が転覆し、700人以上が死亡したとみられる問題で、欧州連合(EU)は20日、加盟各国の外相による緊急会合を開催しました。欧州を目指す難民と併せ、事故による死者も急増する中、今後の対応について協議しました。

 移民船転覆事故は19日、イタリア南部のランペドゥーザ島南方のリビア沖で起きたもの。北アフリカからイタリアに向かう難民は11日から16日の間だけで1万1000人と急増し、今年に入ってからの移民船事故での死者は1500人を超えるという異常な事態となっています。

 EUのトゥスク大統領は19日、急増する難民への対応を協議するため、緊急の首脳級会合を招集する意向を表明。EUの行政府にあたる欧州委員会も、「人命が危機にさらされており、EUは倫理的、人道的観点から行動する必要がある」として、外相・内相級による会合を開くとの声明を発表しました。

 急増する不法移民の多くは、ISやボコ・ハラム、アル・シャバーブなどの過激組織が台頭するシリア、ナイジェリア、ソマリアからの難民です。こうした難民が、内戦状態で国境管理の行き届かないリビアに流入し、その後、欧州を目指して出航しているものとみられています。冬が終わり、気象条件が良好となる中、欧州を目指す難民数は最大で100万人規模になるとの観測も出ています。

 フランシスコ・ローマ法王は19日、こうした難民は「戦争の犠牲者だ」として、各国に「迅速かつ断固たる行動」を呼び掛けました。

 EUは地中海をわたる難民や不法移民対策として、昨年11月に「トリトン作戦」を開始。ただ、同作戦の主要任務は密入国あっせん業者の取り締まりと海上での国境監視で、難民の受け入れや救助を目的とはしていません。

 国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)フランス代表のルクレール氏は同国メディアに対し、「今回のような緊急事態に対応するために必要なのはトリトン作戦ではなく、欧州による財政措置と協力の抜本的な強化だ」と指摘しました。

 オランド仏大統領やガブリエル独副首相は、今回の事態を「悲劇」としながらも、あくまで「不法移民」対策としての国境監視体制の強化を求めました。一方、地中海をわたる難民にとって欧州の「玄関口」となっているイタリアやギリシャは、中東や北アフリカでの紛争解決や難民救助の強化など、より根本的な解決策に向けた各国の協力を求めています。


見本紙 購読 ページの上にもどる
日本共産党 (c)日本共産党中央委員会 ご利用にあたって