2015年4月30日(木)
小渕氏 おとがめなし?
収支報告3億円余虚偽記載
架空「寄付」や観劇会で操作
3億2000万円もの虚偽記載があるのに、おとがめなしか―。小渕優子前経済産業相(41)=衆院群馬5区=の政治資金問題は、元秘書で群馬県中之条町の折田謙一郎前町長(66)が政治資金規正法違反(虚偽記載)で在宅起訴となる一方、小渕氏は嫌疑不十分で不起訴という結果となりました。小渕氏は、大臣を辞任する際、第三者機関で調べて結果を報告すると約束していただけに、その説明責任が改めて問われています。 (藤沢忠明)
小渕氏の疑惑で、不正の主舞台となったのは、小渕氏の資金管理団体「未来産業研究会」です。
簿外支出1億円
小渕氏は、2000年5月に亡くなった父親の故恵三元首相の後継として、同年6月の衆院選で初当選。未来研などの政治団体も引き継ぎましたが、元首相の代から、政治資金収支報告書に記載しない簿外支出は続き、06年ごろまでには、計1億円近くまで膨らんだと指摘されています。
恵三元首相と小渕氏の秘書を計30年以上にわたって務めた折田前町長は、主導してこの穴埋めを計画。今回の巨額虚偽記載となりました。架空の「寄付」や観劇会をめぐる収支の操作で帳尻を合わせていたとみられます。
架空寄付は、小渕氏が支部長を務める「自民党群馬県第5選挙区支部」と、関連政治団体「小渕優子後援会」に対し、おこなっていました。収支報告書によると、06〜13年に、その総額は8800万円にのぼります。起訴状では、09年以降の5600万円を「架空」とし、虚偽記載額は収入、支出の双方で2倍の1億1200万円と認定しました。
一方、第5選挙区支部、小渕優子後援会、「自民党群馬県ふるさと振興支部」は、地元・群馬の支援者らが参加した東京・明治座での「観劇会」に関し、収支報告書に支出が収入を大きく上回る虚偽の記載をしていました。09〜13年にその差額は約5100万円にのぼり、12年は記載そのものがありませんでした。
起訴状では、3団体をあわせると、観劇会の虚偽記載は収入で約1億3000万円、支出で約7900万円と認定しました。
小渕氏の関連政治団体の虚偽記載は合計3億2100万円にのぼります。(図参照)
「秘書のせい」に
小渕氏は、元秘書の起訴を受けた28日のコメントで、「政治的・道義的責任を痛感している」としつつ、「信頼の置ける秘書らがいてくれたおかげで、政治活動に専念できた」などと、いまだに「秘書のせい」にしています。帳簿データなどの入ったハードディスクをドリルで破壊するなど証拠隠滅の行為も重大です。
本紙は昨年9月18日付で、ふるさと振興支部が小渕氏の「第3の“財布”」になっていることを報道、一連の小渕疑惑報道の端緒となりました。「収支の公開」と「不断の国民の監視と批判」で政治腐敗を防ぐことをうたった規正法の理念に照らすまでもなく、小渕氏の政治責任はきわめて重いものがあります。
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