2015年5月4日(月)
「戦争立法」 政府・与党の主張突き崩す
NHK憲法記念日特番 志位委員長が発言
安倍政権が大型連休明けの14日にも「戦争立法」の閣議決定・国会提出を狙う中、3日のNHK番組「憲法記念日特集」で与野党幹部が2時間にわたり討論しました。日本共産党の志位和夫委員長は「戦争立法」の危険な中身を告発し、政府・与党の言い分をつき崩しました。
志位氏は、「戦争立法」について、(1)米国がアフガン・イラク戦争のような戦争を始めた際に自衛隊が従来の「戦闘地域」まで行って軍事支援する(2)形式上「停戦合意」があっても戦乱が続くような地域で自衛隊が武器を使って治安維持活動に参加する(3)日本が攻撃されていないのに集団的自衛権を発動し米国の戦争に参戦する――という憲法9条を破壊する三つの大問題があると指摘。「日本を『海外で戦争する国』につくりかえるのが、その正体だ」と強調しました。
「集団的侵略」「満蒙は日本の生命線」の論理と同じ
集団的自衛権の問題では、与党側が「実質的には憲法解釈の変更ではない」「限定的」(自民党の高村正彦副総裁)などと述べたのに対して、志位氏は、「立憲主義に反する憲法解釈の大転換」であること、「限定」というが無限定となること、米国の先制攻撃の戦争でも発動を否定しないなど「集団的侵略」になること――を具体的に示して、政府・与党のごまかしを批判しました。
戦争中の機雷掃海について、高村氏が「経済的理由だけでなく国民の権利が根底から覆される明白な危険がある場合だけ」と述べたのに対して、志位氏は、どんな経済的な問題が起こり、それが「危機」を招こうと、日本に対する武力攻撃とは「きちんと分けるべき」であり、「それを理由に武力行使に踏み出せば、『満蒙は日本の生命線』といって中国に侵略したかつての論理と同じになる」ときびしく批判しました。
兵たん活動は、戦争行為の一部、武力行使と不可分
志位氏は、他国軍を「後方支援」する2法案(派兵恒久法・重要影響事態法)について、自衛隊がこれまでできなかった「戦闘地域」での軍事支援に踏み込むことで、相手から攻撃され、戦闘になるところに最大の問題があることを明らかにしました。
さらに、志位氏は、「補給、輸送など政府が『後方支援』と呼んでいる活動は、世界では『兵たん活動』と言われ、戦時国際法では軍事攻撃の目標とされる。攻撃目標となるということは、兵たん活動が、戦争行為の不可欠の一部であり、武力行使と不可分のものだと、世界ではみなされているということだ」とのべ、「武力行使と一体でないから問題ない」という議論は世界で通用しないと批判しました。
高村氏は、「兵たんが戦争の一部」だということを認めつつ、「『武力行使と一体化』というのは、武力行使そのものではないけれども、法的評価として武力行使とみなしてもいいということだ」と弁明。志位氏は、「だから、そういう法的評価が国際的にされるということになる」と重ねて批判しました。
PKO法改定、「グレーゾーン事態」対処の危険
討論では、PKO(国連平和維持活動)法の改定、「グレーゾーン事態」への対処についても議論になり、志位氏は、「戦争立法」が、国連の統括しない治安維持活動などにも自衛隊を参加させ、任務遂行の武器使用も可能にしようとしていること、「有事でも平時でもないグレーゾーン事態」という捉え方自体が間違っており、無理やりそういう概念をつくって自衛隊の活動を拡大することは、「偶発的な衝突を国際的な武力紛争にしてしまう危険な議論」だと主張しました。