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2015年7月2日(木)

国民に緊縮策 大銀行は救済

ギリシャ危機対応

EU・IMFに批判

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 債務危機に直面しているギリシャの債権者の8割近くが現在、欧州連合(EU)や国際通貨基金(IMF)など公的部門です。危機が表面化する前、ギリシャにお金を貸していた民間銀行は既に大半が債権者から外れています。ギリシャに押し付けている緊縮政策は国民を犠牲にしてドイツ、フランスなどの大銀行を救済するものだと、批判が上がっています。

少ない民間保有

 ギリシャ公的債務庁によると、同国が抱える公的債務は3月末時点で3127億ユーロ。うち最も多いのがEUの融資1309億ユーロで、42%を占めます。次いでユーロ圏各国政府の融資17%、IMF融資7%、欧州中央銀行(ECB)に対する債務6%など。公的部門が76%を占めます。民間が保有するギリシャ国債は394億ユーロで、13%しかありません。

 09年秋、ギリシャ政府による財政粉飾を機に、同国が債務危機に陥ったころ、ギリシャ国債の8割を独仏英の民間銀行など海外投資家が保有していました。対外債務の支払いが困難になった後、EU、IMF、ECBはギリシャへの金融支援を実施し、民間銀行は債権を減額されながらも救済されました。EUやIMFが大銀行のギリシャに対する債権を肩代わりしたことになります。現在、ギリシャの公的債務の8割を公的部門が占めるのは、このためです。

民主主義の問題

 09〜12年ごろと違い、今回は国債発行残高のうち海外投資家が保有する割合は10%程度です。債務危機によって金融市場が連鎖的な打撃を受ける可能性は小さくなっています。しかし、その一方、ギリシャ国民はEUやIMFが金融支援の条件として押し付けた緊縮政策によって大きな被害を受けています。09年と14年を比べると、名目国内総生産(GDP)は25%減り、9・6%だった失業率は26・5%に急上昇。経済が落ち込んだため政府債務のGDP比は逆に増加しました。

 米国のノーベル経済学賞受賞者、ジョセフ・スティグリッツ教授は最近、英紙ガーディアンに寄稿し、「ギリシャに貸し付けた巨額の金は実際にはまったくギリシャに届いていない。独仏の銀行を含め、民間部門の債権者への支払いに消えた」とし、「人間の犠牲はあまりにも大きい」と緊縮政策を批判しました。

 また、「ギリシャを力ずくで屈服させるために『期限』を使うことは単なる緊縮政策でなく、逆行した懲罰的政策だ」とし、「これは金の問題ではなく、民主主義の問題だ」と非難しました。 (山田俊英)

図
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