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2015年7月10日(金)

主張

戦争法案と新指針

米追従で戦争に突き進むのか

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 政府・与党が集団的自衛権の行使を盛り込んだ戦争法案を正当化するために持ち出している具体例の妥当性が、国会審議の論点の一つになっています。政府が挙げる中東・ホルムズ海峡での機雷掃海や公海上での米艦船の防護などの具体例は、いずれも日米両政府が新たに策定した「日米軍事協力の指針」(新ガイドライン)に盛り込まれているものです。その狙いは、米国が乗り出す海外での大規模な戦争に日本を参戦させ、自衛隊を米軍と一体となってたたかわせることに他なりません。

日米の統合部隊化が狙い

 新ガイドラインは、戦争法案が国会に提出される前の今年4月末に策定されました。自衛隊は「米国又は第三国に対する武力攻撃に対処する」ために「武力の行使を伴う適切な作戦を実施する」とし、日本の集団的自衛権の行使を明記しました。その際に、米軍と自衛隊が協力して実施する作戦例として挙げたのが、「(兵器などの)アセットの防護」や「艦船を防護するための護衛作戦」「機雷掃海」などです。

 日本共産党の畑野君枝議員が8日の衆院安保法制特別委員会で指摘したように、米側は、日本の集団的自衛権の行使容認により、平時から米軍と自衛隊との統合部隊化を図り、戦争に動員しようと狙っています。

 米海軍制服組トップのグリナート作戦部長は「(日本の)集団的自衛権行使容認は海上自衛隊を(米軍の)空母打撃群やミサイル防衛に統合することを可能にし、任務のほとんどの局面で実際に一つの部隊としてともに作戦できるようになる」と指摘し、将来的にはNATO(北大西洋条約機構)軍と同じような統合部隊化も考えるべきだと述べています(昨年5月の米シンクタンクでの講演)。

 ブレア元米太平洋軍司令官も「(米軍と自衛隊は)統一された指揮の下に、例えば米国の司令官が統括し、日本の司令官が副官になって合同任務部隊を速やかに形成することができる」と語り、米空母と海自のヘリ空母、日米両軍のイージス艦の統合を挙げています(昨年7月のインタビュー)。

 新ガイドラインは、事実上の日米統合司令部である「同盟調整メカニズム」を恒常的に設置し、米軍と自衛隊との「運用面での調整」や「共同計画の策定」を行うとしています。情報共有や訓練、計画策定などを通し、日米共同の軍事作戦を事前に準備しようとするものです。自衛隊はあらかじめ米軍の戦争計画に組み込まれ、米国が戦争を始めれば日本は自動的に参戦する極めて危険な仕組みです。

米の参戦要求拒否できず

 戦争法案同様、新ガイドラインも「他国に対する武力攻撃が発生し、これにより日本の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある事態に対処」するためだとしていますが、そうした事態の判断は日本政府の裁量に任され、無限定です。戦後一度も米国の戦争に反対したことのない日本が、米国の参戦要求を拒否できないことは明白です。

 米国は、ベトナムやイラクへの侵略戦争のように国際法違反の先制攻撃の戦争を繰り返してきた国です。米国の無法な戦争に日本が参戦する憲法違反の戦争法案は廃案にするしかありません。


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