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2015年7月27日(月)

NHK日曜討論 小池政策委員長の発言

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 日本共産党の小池晃政策委員長は、26日のNHK「日曜討論」に出演し、新国立競技場問題や戦争法案をめぐって各党の政策責任者らと議論を交わしました。

新国立競技場の見直し問題

英断どころか、あまりに遅すぎる――首相、政府・与党の責任は明らか

 新国立競技場問題について、自民党の稲田朋美政調会長は、安倍晋三首相が表明した計画の「白紙撤回」を「英断」と賛美する一方、「どこかで引き返す決断ができなかったか検証する必要がある」と人ごとのようにのべました。公明党の石井啓一政調会長も「見直しを決断したのは英断だ」と主張しました。

 小池氏はこれを厳しく批判しました。

 小池 与党の方は「英断」といいますが、あまりにも遅すぎます。「英断」という言葉を使って胸を張るのは間違っています。率直に国民に謝罪すべきです。

 「白紙撤回」は国民の良識の勝利で、民意に反する、国民多数の声を無視する政治は、必ず行き詰まるということが証明されたと思います。2年前から世界的建築家である槇文彦さんをはじめ、「あまりに巨大すぎる」という批判が続いた。私たちも国会でも、都議会でも見直しを求めてきた。まったく耳を貸さずにやってきた責任が問われています。

 稲田さんは“どこかで引き返せなかったのか”と人ごとのようにいいましたが、引き返すことができたのは、与党・政府です。それをやらなかった責任は重大です。(下村博文)文科大臣の責任はもちろん、“最終的な責任がある”と(自ら)認めた総理も、最後まで「撤回」と言わなかった。その責任を含めてはっきりさせないといけない。

安倍暴走政治の表れ――戦争法案も原発再稼働も沖縄新基地も白紙に

 責任の所在について、民主党の細野豪志政調会長は「下村大臣の責任は絶対に免れない」、維新の党・今井雅人政調会長は「所管である文部科学大臣の責任は重い」と主張。一方、稲田氏が「“誰が”という以上に、経過を検証する必要がある」とのべたのに対し、小池氏はこう指摘しました。

 小池 やはり工費が膨れ上がっていった過程(の責任が問われる)。関連工事を含めて落札率が99%、100%という話もある。ゼネコンの関与がどうだったのかなど徹底した検証をしないといけない。同時に言いたいのは、“安倍首相が世界に約束したことだから”といって、誰もモノが言えない。首相や首相経験者が「絶対君主」のように振る舞い、誰もモノがいえない。与党からもモノがいえない。世界的な建築家がだめだと何度もいっているのに、耳を貸さない。

 この間の安倍政治、憲法学者が(「違憲だ」と)言っても関係なく戦争法案を進める暴走政治が、今回の経過全体にもはっきり表れています。そういう政治手法、いまの安倍政治のあり方(が問題だ)。この問題(=新国立競技場)を含め、民意に応えるというのであれば、戦争法案、原発再稼働、沖縄新基地も全部撤回するべきだと思います。

五つの建設的提案――開閉式屋根をやめて国が責任を持つべきだ

 番組は今後の計画についての議論となり、小池氏は建設計画のあるべき姿を示しました。

 小池 今回の大きな誤りは巨大な開閉式の屋根、天井をつくって、多目的、巨大イベントホールにしたことが最大の誤りで、私たちは国会でも五つの提案をしています。

 一つは、デザインは抜本的に見直す。開閉式屋根はつくらない。8万人の観客席のうち一部は仮設にする。簡素で無駄のない計画にすべきです。

 二つ目は、建設にあたって、周辺住民の住環境を尊重する。それから、景観に対する配慮を最大限払う。

 三つ目に、建設費は国が責任を持つことを明確にする。サッカーくじ、野球くじに頼らない。

 四つ目は、工費とその進行状況を公開することです。国民の目に透明性を確保するのが、一番これを抑える保障になっていく。IOC(国際オリンピック委員会)の改革提言にも合致する考え方です。

 最後に、大会後の使用と維持・管理も国が責任を持つ。こういう形でやれば過大なものにはなりません。

 いま建設的な提案をしたので、(政府・与党は)ぜひ受け止めて、前向きな解決を図っていくべきです。

オリンピックを利用して大型開発を進める発想はやめよ

 オリンピック後、新競技場をどう“国民の財産”としていくのかが議論となり、「神宮の森の景観になじむ形で計画を立てるのが大事だ」(稲田氏)、「民間の知恵を借りるべき」(細野氏)などの意見が出されました。小池氏はこうのべました。

 小池 その後の維持・管理も国がきちんと責任を持つことを明確にすることが大前提です。維持費がかさむ最大の理由は、開閉式屋根にする(ことだ)。そうすると、芝生のために人工的に光をあて、風を送り、人工的に夜露をつくる装置まで(つくるという)。ばかげている。こういう計画はまったくナンセンスで、見直すべきです。

 だいたい、なぜこういう議論になるのかといえば、真剣にスポーツの発展を願って出てきた話ではなく、石原(慎太郎)都政以来、オリンピックを利用して大規模開発をすると(いう考えがあったからだ)。「オリンピックのため」ではなく、まさに「建設のため」というのが背景にあります。「オリンピックのため」と言えばなんでも許されると。(建物の)高さ70メートルですよ。これは(法にもとづく)高さ制限を突破し、再開発になる。私はあの周辺の病院で勤務していましたから、非常に閑静な住環境だとわかっています。それを壊していいのか。「負の遺産」にせず、「ゼネコンの夢」ではなく、「アスリートの夢」に応える建設計画に抜本的に見直すべきです。

戦争法案 参院審議にどうのぞむか

違憲の法案に“対案出せ”は不遜な態度――憲法9条にもとづく平和外交こそ立派な対案

 テーマは参院で審議入りする戦争法案に移りました。自民党の稲田氏は「対案を出さず批判ばかりするのは無責任だ」などと主張。公明党の石井氏は「衆院段階では与党の質疑時間が極端に少なかった。参院では与党もしっかり時間をとってアピールしてほしい」などと語りました。

 これに対して小池氏はつぎのように指摘しました。

 小池 さきほど、(質疑)時間のことをおっしゃったが、時間の問題ではありません。総理は、「丁寧に説明する」といって、テレビで変な模型を持ち出して説明したが、あれは何ですか。(集団的自衛権の行使を)「火事」に例えたわけだが、「火事」は消せばそれで済むが、「武力の行使」は反撃される。火事は消せば感謝されるが、「武力行使」は憎しみを生む。「火事」の「消火活動」は人の命を助けるけれども、「戦闘行動」は、殺し、殺される。まったく違います。ああいう説明をしたことに本当にあきれます。本気で説明したのであれば、まったくこの法案を理解してないことになる。さすがにそんなことはないだろうから、結局、(国民を)ごまかそうとしている。

 (政府・与党は)「国民の世論がいくら(反対が)多くても、いずれ賛成する」といい、(反対は)「刹那(せつな)的な世論だ」と高村(正彦・自民党副総裁)さんもいったが、許されない態度です。「憲法違反」だと圧倒的な憲法学者がいっている。これを破壊するのは、立憲主義の破壊だし、独裁の道だ。それを、「対案を示さないとダメだ」と(いう)、そんな不遜な態度はない。憲法を壊そうとしているときに、「それはダメだ」というのは、立派な対案です。憲法9条にもとづく外交をやるのは立派な対案じゃないですか。

 これに対して、稲田氏は「憲法学者の2割しか、自衛隊が『合憲』だといっていない。憲法違反かを決めるのは最高裁が唯一だ。砂川判決の理論に従えばこの法案は合憲だ」などと反論を試みましたが、小池氏から「反論になっていない。(砂川判決を根拠にするのは)もう破綻した議論だ」と指摘されました。


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