2015年9月2日(水)
都営住宅存続求める
新国立白紙受け住民が要望
都・国・IOCに
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2020年東京五輪の新国立競技場の計画が白紙撤回されたことを受け、競技場予定地に隣接する都営霞ケ丘(かすみがおか)アパート(新宿区)の住民有志が8月31日、アパート廃止計画の見直しを求める要望書を、東京都と内閣官房、文科省に提出しました。同日付で、同じ内容の書簡を国際オリンピック委員会(IOC)のバッハ会長にも送付しました。
記者会見には、アパートに住む4人、支援者でつくる「霞ケ丘アパートを考える会」の大橋智子さん、日置雅晴弁護士が出席。要望書は▽霞ケ丘アパートについてもゼロベースで見直し、存続させる▽その方法を誠実に模索し、住民と話し合いの場を持つ―などを求めています。
住民らはこれまで、計画見直しを求める要望書を3度、舛添要一都知事に提出しました。しかし知事からの回答はなく、都の都市整備局は「移転を進めるための手続きを粛々と進める」と繰り返しています。
今回、IOCにも働きかけることにした理由は、IOCがオリンピックの持続可能性を追求した「アジェンダ2020」を採択し、環境公約「アジェンダ21」で人間の住居環境および居住を重視しているためです。
大橋さんは東京オリンピック開催で地域住民のコミュニティーが壊され、住む権利が奪われる可能性を指摘し「人間の尊厳の保持に重きを置くオリンピック憲章に背く」と述べました。
94歳の母親を介護する68歳の女性は「半世紀以上も住んでいる住まいと地域に愛着があります。よその地に引っ越し、とても狭い部屋で暮らすことを思い悩んで、母は夜にうなされている」と話しました。