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2015年9月7日(月)

主張

戦争法案反対世論

理解不足や誤解でごまかせぬ

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 憲法9条を踏みにじり日本を「海外で戦争する国」に変えてしまう戦争法案に国民の批判が広がり、各地で大きな集会やデモがおこなわれているのに対し、安倍晋三首相や法案担当の中谷元・防衛相は、国民に理解されていないとして「説明をつくす」と繰り返しています。その一方、「決めるときには決める」と採決強行もちらつかせるのですから、国民の納得を得る姿勢ではありません。菅義偉官房長官のように、国民の「誤解」と決め付ける主張さえあります。戦争法案の不当性を棚に上げ、国民の「理解不足」「誤解」などと非難するのは言語道断な態度です。

法案の中身知るほど反対

 戦争法案が国会に提出されて4カ月近く、衆院で採決が強行され参院に送られてからだけでも2カ月近くたつのに、国民は安倍政権の「説明」に納得するどころか、反対の声はますます広がり、各地各界で「空前」の反対運動が巻き起こっています。どの新聞、テレビの世論調査でも「反対」は過半数にのぼり、「今国会で成立させるべきではない」という声は7割以上にのぼっています。「政府は説明不足」という声が8割以上から減らないのも、法案の中身が分からないからではなく、国会で審議すればするほど、危険な中身が明らかになるからです。

 強まる一方の反対の声に対し、安倍政権はまともに説明するどころか、抑え込むのに必死です。憲法学者や法律の専門家からさえ相次いだ「憲法違反」の指摘に対し、安倍首相は「違憲かどうかを決めるのは最高裁だ」と開き直りました。ところがいまや、当の最高裁の元長官からさえ「集団的自衛権の行使を認める立法は憲法違反」(山口繁・元長官、3日付「朝日」など)といわれる始末です。いいのがれは通用しません。

 安倍首相らは国民に説明するといいますが、肝心の「説明」自体が二転三転しています。なぜ集団的自衛権を行使する必要があるのかの説明で、安倍首相は「米艦による邦人輸送」を例にあげましたが、中谷防衛相は米艦に日本人が乗っていなくても集団的自衛権行使はありうるといいました。「ホルムズ海峡の機雷掃海」も当のイランが機雷封鎖はありえないといいだしています。これではいくら安倍政権の「説明」を聞いても、国民が納得できないのは当然です。

 米軍の戦争を「後方」支援するために自衛隊が輸送する武器・弾薬には核兵器まで含まれうることや、自衛隊の制服組はすでに戦争法案の成立を見越して南スーダンPKOでの「駆けつけ警護」や南シナ海での「警戒監視」まで検討していたなど、戦争法案の危険性はいよいよ明らかです。にもかかわらず、「戦争法案」だなどというのは国民の「大きな誤解」(菅長官)だといい張る安倍政権の姿勢は、国民の不安に応える姿勢とは程遠いものです。

国民に責任なすりつける

 戦争法案に対する国民の批判や反対を「理解不足」や「誤解」と決め付ける安倍政権の主張は、もともと持ち出すこと自体許されなかった憲法違反の戦争法案への支持が広がらない責任を国民になすりつける不当なものです。まともな説明さえできなくなった法案は廃案にするしかありません。

 政権の詭弁(きべん)を許さず、戦争法案阻止に力を尽くす正念場です。


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