2015年9月19日(土)
主張
戦争法案への怒り
国民踏みにじる政治は許さぬ
「強行採決、ゼッタイ反対」「安倍政権の暴走許さないぞ」―安倍晋三内閣と与党の自民、公明が戦争法案の採決強行に突き進んだ国会の周辺は、連日連夜、廃案を求める国民の怒りの声に包まれました。夜遅くなろうと、雨が降ろうと、その怒りの行動は広がる一方です。戦争法案の強行採決は、憲法と国会のルールだけでなく、広範な国民の反対の声を踏みにじった許しがたい暴挙です。採決を強行しても、国民の怒りの声を封じ込めることはできません。
一人ひとりが声をあげ
メールやツイッターで連絡を取り合って参加した青年や学生、幼い子どもを連れたお母さん、居ても立ってもおられず、「この声を聞いてほしい」と全国から駆けつけたなど、国会周辺の行動に参加している人々は多彩です。戦争法案には、元最高裁長官や元裁判官など、普段はこうした問題で発言したことのない人たちも反対の声をあげ続けています。全国の大学などの学者・研究者も「反知性」の暴走は許さないと怒りの声をあげています。文化人や芸能界からの批判も相次いでいます。
文字通り国民一人ひとりが、主権者として、いま声をあげなければと立ち上がっているのです。若い世代でつくるSEALDs(シールズ)(自由と民主主義のための学生緊急行動)の奥田愛基氏は戦争法案の中央公聴会で、日本全国の街頭で累計130万人以上が声をあげていると紹介しました。街頭に出て声をあげなくても、その背後には、法案に怒りをたぎらせている数百万、数千万の人たちがいます。
新聞やテレビ局の世論調査で6、7割の国民が戦争法案は今国会で成立させるべきではないと答えており、全人口に換算すれば、1億人近い人たちが反対している計算です。反対世論の予想を超えた拡大に、安倍首相らも国民への「説明不足」を口にしています。NHKの世論調査では、安倍政権の「抑止力が高まる」という説明に、「あまり納得できない」「まったく納得できない」が63%を占めています。説明不足で国民が戦争法案の中身を知らないどころか、それこそ知れば知るほど、反対の意思を固めているのは間違いありません。
国民一人ひとりが、だれにいわれたからでもなく、自ら考え、いま声をあげなければと、自発的な行動に立ち上がっているのは、日本国民のなかに民主主義の理念が豊かに根付き、成長しているのを示すものです。日本国憲法は「憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によつて、これを保持しなければならない」(12条)と定めています。戦争法案反対の行動がこうした憲法を生かしているのは明らかです。
民主主義をさらに強めて
政治の主人公は国民です。国会最終盤、国会内で日本共産党などの野党が論戦や内閣不信任案の提出などで徹底してたたかえたのも、国会の外での国民のたたかいに支えられたからです。政権が国民の意に反して暴走したとき、主権者・国民がその意思を表明することが重要になります。
だいたい、国会で多数を占める与党の議席は、選挙制度の不公平に助けられた虚構の多数です。数の力にものをいわせる「多数決主義」を許さず、国民の声を生かして政権の暴走をやめさせることが民主主義の実現にとって必要です。