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2015年9月29日(火)

問われる小渕前経産相の政治責任

5年間で3億円超 虚偽記載を認めた元秘書ら

来月9日、東京地裁で判決

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 政治資金規正法違反罪(虚偽記載)で起訴された小渕優子前経済産業相(41)=衆院群馬5区=の元秘書らは、14日の初公判で虚偽記載の事実、不正を「間違いありません」と認めました。元秘書らの判決が10月9日に東京地裁であります。


 検察側の冒頭陳述などによると、小渕氏の資金管理団体「未来産業研究会」(東京)は、2006年末まで、冠婚葬祭の慶弔費や陣中見舞い、接待費などの支出を政治資金収支報告書に記載せず、実際の預貯金の残高が収支報告上の残高より約1億円少なくなっていました。

 元秘書で前群馬県中之条町長の折田謙一郎被告(67)らは、この乖離(かいり)、ずれを解消するため、09〜13年分の収支報告書で、未来研から地元・群馬側の自民党群馬県第5選挙区支部などの政治団体に計約5600万円の寄付があったように装う虚偽の記載をしたとされます。

 また、女性支援者向けに開いた観劇会をめぐり、小渕優子後援会の収支報告書に、参加者からの会費収入と明治座への支払いをともに大幅に少なく、虚偽記載したとされます。

 関連政治団体の収支報告書の虚偽記載は09〜13年の5年間で約3億2100万円にのぼりました。(図参照)

図

接待や慶弔費

 折田被告と未来研の元会計責任者、加辺守喜被告(62)は、初公判で、これらの起訴内容を認めましたが、法廷では、重大なことが明らかになりました。

 それは、「1億円のずれ」が、どうして生まれたかということです。

 被告人質問で折田被告は「冠婚葬祭や接待の費用など、収支報告書に載せづらい支出が積もった」と説明しました。

 加辺被告は、慶弔費や陣中見舞いについて、「相手の目を気にする」とのべ、「Aに10万円、Bに5万円」など、金額に差があることを明らかにしたくなかった、と虚偽記載の“動機”を明らかにしました。また、政治資金集めのパーティー収入について、「集金力は政治家の力のバロメーターだと思い、見えをはって過剰に記載したこともあった」としました。

 ずれを解消しようとしたきっかけも、問題です。07年に松岡利勝農水相(当時、故人)らが多額の事務所費を不適正な支出にあてていた、いわゆる「事務所費」疑惑が本紙の報道で発覚、折田被告は、収支報告書の繰越額の乖離が発覚すると、「このままではマスコミに指摘され、大問題になる」と考えたといいます。加辺被告は、収支報告書について、小渕氏には「表紙を見せる程度だった」とのべました。

まるで人ごと

 論告で検察側が「政治資金の収支の実態を収支報告書に正確に反映させようという意図はみじんもうかがわれない」と批判したことを小渕氏は重く受け止めるべきです。

 ところが、小渕氏は、「裁判の行方を見守りたい」などと人ごとのようなコメントを発表しただけ。問われているのは、同罪容疑で告発され、不起訴処分となった小渕氏自身と、疑惑発覚後も、閣僚を辞任させただけで、昨年末の総選挙で同氏を公認した安倍自民党です。(藤沢忠明)


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