2015年10月4日(日)
株疑惑の武藤衆院議員
1億円返済求め提訴したが… 説明責任果たさず
公認した自民 問われる安倍首相
未公開株をめぐる金銭トラブルで自民党を離党した武藤貴也衆院議員(36)=滋賀4区=が悪あがきしています。問題の発端は、知人に預けていたカネが戻ってこなかったからだとして、知人ら2人に1億円の貸金返還訴訟を提起する一方、記者会見したのは一度きりで、説明責任を果たそうとしていません。
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貸金返還訴訟の第1回口頭弁論は9月8日、東京地裁(谷口園恵裁判官)でありました。
訴状によると、武藤議員は昨年2月、学生時代の知人男性から「ブランドバッグの転売を手がけている。リスクはまったくない」などと投資を持ちかけられ、同年10月までに計1億円を渡しました。ところが、配当がなく、弁済の約束を取り付けましたが、期限をすぎても返済されていないといいます。
金銭トラブルは8月19日発売の週刊誌で表面化。武藤議員が昨年、この知人男性らに「値上がり確実なソフトウエア会社の新規公開株を国会議員枠で買える」と持ちかけ、23人から計約4100万円を集めたと報じられました。
「特別枠準備」と
武藤議員は8月26日、週刊誌やスポーツ紙の記者を排除した会見で、事業に失敗した知人男性に株を購入して穴埋めするよう提案したと説明。「国会議員枠が存在していたとの認識は当時からなかった」と弁明しました。
ところが、知人男性に「この案件はクローズだからね。正直証券会社からもうちが国会議員のために枠を抑えてるのとが(ママ)一般に知られたら大変だと言っています。その辺呉々も注意してください」とラインでくぎを刺していたことについては、まともに説明できませんでした。
証券会社が国会議員のための特別の枠を準備していたとすれば、国会議員への利益供与となる重大問題です。武藤議員が、ありもしない話でカネを集めたとしたら、詐欺罪となります。
「1億円を渡した」という言い分も疑問です。
武藤議員が衆院議長に提出している「資産等報告書」(2015年3月)によると、「普通自動車1台」が記載されているだけで、「土地・建物」「預金・貯金」「有価証券」など、いずれも「該当なし」。「所得等報告書」(同年4月)も歳費など「給与所得」が1731万6684円、「雑所得」3万円のみ。どうやって1億円もの大金がねん出できたのか、不明です。事実としても「貸付金」は資産として報告しなければなりませんが、資産等報告書には、記載がありません。
知人側は答弁書を提出し、争う姿勢を示したといいますが、武藤議員には、法廷だけでなく公の場で、納得のいく説明をする責任があります。
離党ですまない
自民党、安倍首相の責任も重大です。
武藤議員が支部長を務めてきた自民党滋賀県第4選挙区支部には、毎年多額の国民の税金である政党助成金が自民党本部から交付されてきました。11〜13年の3年間で総額3550万円にのぼります。
武藤議員は、言論弾圧発言が問題になった自民党の議員グループ「文化芸術懇話会」のメンバーです。最近の週刊誌では、未成年者らに現金を渡して議員宿舎で性的行為をしたと報じられました。
こうした人物を公認し、問題発覚後も離党ですませていることは重大です。