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2015年10月9日(金)

いすゞも規制逃れ?

VWと同じ排出ガス問題

4年前に東京都が通報

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 ディーゼルエンジンに不正なソフトウエアを装着し、排ガス規制を逃れる―。これは独フォルクスワーゲン(VW)社だけの手法ではありませんでした。東京都が2011年5月、同様の問題で、「いすゞ自動車」(東京都品川区)を、国土交通省に道路運送車両法違反で通報していたことがあらためて問題になっています。 (遠藤寿人)


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(写真)いすゞ自動車の販売店=東京都世田谷区

 東京都が発表した調査結果によると、東京都環境科学研究所が、走行中の自動車を無作為に調査したところ、不適正なソフトウエアを装着した車を発見。いすゞのトラック「フォワード 積載量4トン」でした。

 このトラックは、排ガス規制試験には「適合」していましたが、時速40キロと60キロの一定速度での実走行時では、窒素酸化物(NOx)を規制値の3倍以上排出しました。

 これは、VWと同じ排出ガス低減性能の「無効化機能」(デフィート・デバイス)と呼ばれるもの。

試験時だけ抑制

 不適正なエンジン管理用ソフトウエアの制御により、試験のときだけ、排ガス浄化装置がフル稼働してNOxを抑制します。逆に通常の走行時には、浄化機能を大幅に低下(無効化)するよう切り替わります。

 VWの場合、NOxは規制値の最大40倍にも達することもありました。

 排ガス試験は台上試験装置の上でエンジンを動かし、排出ガス中の有害物質の濃度を測定します。定められた試験走行パターンに合わせ、アクセルを動かし検査します。このソフトウエアは走行パターンやアクセルの動き、ハンドルが操作されているかどうかなどの情報から、「台上試験」を受けているかどうかを察知していたとみられます。

 東京都は11年5月、いすゞに対して「車両の低価格化と排ガス規制逃れを同時に行った可能性が高い」「欧米では規制逃れの反社会的行為にあたる『無効化機能』として禁止されている」と主張しました。

 一方、いすゞ側は「排ガスデバイス(装置)の保護を目的とした制御」「規制には適合。規制逃れの意図はない」と反論しました。

無料修理届け出

 しかし、同社は都の指摘を契機に同年6月3日、「エンジン制御プログラムの影響によりNOxの排出値が悪化するおそれがある」として、886台を無料で回収・修理する「改善対策」を国交省に届け出ました。

 同社は本紙の問い合わせに「886台の回収は終わっている。4年前は無効化機能のガイドラインがなかった。規制逃れの意図はない」と当時の主張を繰り返しました。

 欧米では「無効化機能」は自動車メーカーの意図にかかわらず「反社会的行為」として、禁止規定が「明文化」されています。東京都は国に対して禁止規定の整備を要求。国交省は13年から、道路運送車両法の保安基準の関連通達などで「総重量3・5トン以上のトラック」で、試験のときのみ浄化装置を作動させるような不正ソフトの使用に対する防止措置を講じています。


 ディーゼル排ガス規制 ディーゼル車の燃料は軽油で排ガスには有害物質の粒子状物質(PM)や窒素酸化物(NOx)が含まれます。毒性が多く、高い発がん性があります。細かく目に見えないNOxやPMを体内に吸い込み蓄積されると人体への影響は深刻です。そのため自動車NOx・PM法や都道府県条例などで、排出基準に適合しない車種は、走行禁止などの厳しい措置がとられています。


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