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2015年10月16日(金)

主張

経団連の献金要請

金での政治支配継続許されぬ

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 国内の主な大企業や業界団体が参加する日本経済団体連合会(経団連)が、昨年に続き、加盟企業に企業献金を呼びかけました。同時に発表した「政策評価2015」では法人税率引き下げや原発再稼働など自由民主党の政策を高く評価、献金は事実上自民党に向けられています。最近の日本歯科医師連盟(日歯連)の巨額献金が浮き彫りにしたように、営利に絡む企業や団体の献金は腐敗政治の温床です。経団連が自らの利益のために政権党への献金を呼びかけるのは政治支配そのものです。

政治と関係強化するため

 経団連はかつて巨額の献金を国民政治協会経由で自民党などにあっせんするなど、文字通り金の力で政治をゆがめ、財界の政治支配だと厳しい批判を浴びてきました。このため一時はあっせんを中止したり、献金額が落ち込んだりしたこともありましたが、現在の榊原定征氏が昨年会長に就任した後、政権との関係を強化する方針を打ち出し、加盟企業に献金を呼びかけるやり方を復活させています。前任の米倉弘昌会長時代には安倍晋三政権との「不協和音」もいわれたのに、榊原氏の会長就任後の“蜜月”ぶりは明らかです。

 経団連が加盟企業に献金を呼びかけるやり方は、経団連の事業方針に沿って自民党など与党の取り組みを評価、さらに今後の課題を突きつけるという露骨なものです。公表された「政策評価2015」によれば、「自由民主党を中心とする与党は(中略)TPP協定の大筋合意をはじめとする経済成長戦略や外交・安全保障政策を遂行し成果を上げており、高く評価できる」と持ち上げ、そのうえで今後の課題では「消費税10%への着実な引上げと単一税率の維持」「法人実効税率を早期20%台へと引下げ」「原発の再稼働プロセスの加速」など、露骨な要求を並べ立てています。献金は集めてやるから、要望を聞けと迫るのは、最悪の政治買収です。

 経団連が加盟企業への献金呼びかけを発表した同じ日、経団連や経済同友会、日本商工会議所の財界3団体のトップがそろって安倍首相を訪ね、法人税実効税率の引き下げなど新内閣への要望書を突きつけました。財界が一丸となった露骨な政治への圧力です。

 経団連が献金と一体で自民党に突きつけている消費税の増税や原発の再稼働は、圧倒的な国民の意思を踏みにじる不当なものです。国民の意に反しても、財界が求める政治を安倍政権に続けさせるために企業献金を拡大するというのは、企業献金の不明朗さ、不公正さを浮き彫りにしています。

金もうけ目的の企業献金

 金もうけが目的の企業の政治献金は、もうけにつながらなければ経営者が背任罪に問われ、逆に政治家が権限を行使して企業がもうけを増やせば贈収賄の罪にも問われる、腐敗政治の温床です。献金の見返りと見られる事件が後を絶たないため、政治家個人への企業献金は禁止されました。

 本来政治献金は主権者である国民の政治参加です。金の力にものをいわせる企業・団体献金はその権利を侵害する点でも重大です。国民の暮らしと権利を守るうえで、献金を要請した経団連はもちろん、献金を負担する企業や献金を受け取る自民党などの責任は、あいまいにできません。


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