2015年10月23日(金)
辺野古環境委員に寄付金 「いであ」の“暗い過去”
新石垣空港建設めぐる埋め立て(1988年)
「ずさんな調査」県民が指摘
「新基地ノー」という沖縄県民の総意を無視して名護市辺野古で、耐用年数200年という巨大な軍事要塞―米軍のための新基地建設へ、埋め立て工事の強行を図る日米両政府。同基地建設のための環境影響評価(アセスメント)調査を受注する一方で、埋め立て工事などでの環境保全策について指導、助言する政府の有識者委員会の運営も請け負い、同委員への多額な寄付金提供が発覚した環境保全コンサルタント会社「いであ」の「触れられたくない過去の問題」に迫りました。 (山本眞直)
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ここに一つの資料が―。表題は「沖縄県職員措置請求書」(1989年4月21日)です。
調査報告改ざん
同請求書は、地方自治法に基づき、自治体の契約業務の内容に不正確な事実、不誠実な資料作成があるとして、それらの是正と契約代金の返還を求めて、県民有志が県監査委員に提出したもの。
同請求書は、西銘順治県知事(当時)と県職員らが実施した「新石垣空港」建設計画での公有水面埋め立てに関わる「環境影響調査(アセス)準備書」(1988年4月22日縦覧開始)について、20数項目に及ぶ不十分な調査、不正確なデータの引用、調査報告の改ざんをあげています。
この準備書のために県が委託した会社は「新日本気象海洋」。
同社は2006年に社名を変更しています。新社名は「いであ株式会社」。同社はいま再び、新基地建設で、その露払い役を買って出ているのです。
同請求書は新石垣空港をめぐり、こう指摘しています。
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「知事ら関係職員は1987年10月、新日本気象海洋(株)と準備書及び評価書の作成契約を1520万円で締結し、これに先立ち『流況シュミレーション』(ママ)に関する委託業務を850万円で同社に請け負わせ、それらの調査結果、計算結果を『準備書』に記載し、縦覧した」
準備書については、「『埋め立てを行っても白保リーフ内への影響は軽微で環境保全目標は満たされる』と結論づけた。このような不正確、不誠実な準備書作成業務は建設省(当時)の公有水面埋め立てに係る環境影響評価技術指針の要件を満たさず不当な契約履行」と断定しています。
まさに今回の新基地建設での同社の役回りをほうふつとさせます。
白保の埋め立ては反対運動で中止になり、陸上空港になりました。
新基地建設でも
当時、白保の埋め立てに反対してきた無所属の宮良操石垣市議(59)は「(いであの行為には)あいた口がふさがらない。国や県の公共工事をめぐるいい加減な体質は今もかわらない。新石垣空港を陸上空港にさせたように新基地も止めたい。翁長知事の承認取り消しを応援している」と力を込めました。
ヘリ基地反対協議会の安次富浩共同代表は言います。
「かつては西銘知事、今回は仲井真前知事との違いはあれ、ずさんな環境調査で県民をだますやり方は、世界の笑いものだ。米軍や企業などのために沖縄の海を好き勝手に埋め立てることは県民が許さない」