2015年10月25日(日)
「心からおわび」で済まない 小渕元経産相の政治責任
金権・腐敗に鈍感な安倍政権
自身の関連政治団体をめぐる政治資金規正法違反事件で、小渕優子元経済産業相(衆院群馬5区)は20日、第三者委員会の調査報告書を公表したことを受け、記者会見し、「多くのみなさま方にご心配とご迷惑をお掛けし、心からおわび申し上げる」と謝罪しましたが、これで一件落着とは到底いえません。
辞職しない意向
小渕氏は会見に先立ち、後援会関係者に調査報告書の内容を説明。会見では「後援会から今後も地元のために頑張れとの決議をいただいた。期待に応えられるように身を粉にして働きたい」とのべ、議員活動を続ける意向を示しました。
政治資金収支報告書の虚偽記載については、「表紙を見たり、パラパラめくったり。事務所のスタッフにまかせ切りだった」と説明しました。これまでの金権政治家が、「秘書が」「知らなかった」と言い逃れしてきたこととまったく同じです。
今月9日、同法違反罪で元秘書2人に有罪を言い渡した東京地裁判決は、虚偽記載が4〜5年にわたり、総額3億1200万円余にのぼり、内容虚偽の収支報告書は四つの政治団体、計15通と多数であることを指摘。「政治活動に対する国民の不断の監視と批判の機会をないがしろにする悪質な犯行」と断じました。「スタッフにまかせきりだった」という責任逃れは通用しません。
裏金の真相隠す
重大なことは、小渕氏が不正会計の実態について、「慶弔費や陣中見舞いなど記載をはばかられる支出の不記載があったようだが、十分に分からない」「地検の捜査や裁判、第三者委の報告が終わり、これ以上の説明はできない」などと、真相解明にフタをする考えを明らかにしたことです。
地裁判決は、「収支報告書の虚偽記載は、裏金捻出をも目的としていたものと認められる」と指摘しました。
小渕氏は、この認定に「ショックを受けた」とのべました。しかし何のために裏金を捻出して、何に使ったのか、小渕氏には、その全容を明らかにする責任があります。
家宅捜索前に小渕事務所のパソコンのハードディスクを破壊したり、親族が経営する服飾雑貨店から小渕氏が政治資金で洋服などを購入していたことなども問題になっています。
「政治活動の公明と公正を確保し、もって民主政治の健全な発達に寄与する」という政治資金の収支の公開制度の中核部分に真っ向から反する小渕氏の姿勢は厳しく問われざるをえません。
自民党の谷垣禎一幹事長は、事件が及ぼす来年の参院選への影響について「マイナスにならないよう緊張感を持って政権・党運営をしなければならない」とのべましたが、昨年の総選挙で小渕氏を公認したのは自民党です。安倍内閣は、改造後、早くも閣僚の「政治とカネ」が続出しています。安倍自民党の金権・腐敗への鈍感さも重大です。