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2015年11月13日(金)

主張

高木復興相の疑惑

否定してみせても疑問は残る

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 第3次安倍晋三内閣の改造から1カ月余り、野党が憲法53条にもとづいて要求した臨時国会を安倍政権が開こうとしないなかで、戦争法や環太平洋連携協定(TPP)など重要課題の徹底究明とともに、内閣改造で就任した新閣僚への追及も十分行われないままになっています。とりわけ、島尻安伊子沖縄・北方担当相のカレンダー配布や森山裕農水相と馳浩文部科学相の違法献金疑惑に加え、あらたに表面化した高木毅復興担当相の「政治とカネ」疑惑は重大です。衆参予算委の閉会中審査で追及された高木氏は疑惑を否定してみせましたが、疑問は残っています。

国会と国民欺いた疑いも

 高木氏にかかわる疑惑はいくつかありますが、その一つは高木氏が代表を務める自民党支部が、選挙区内での香典の支出を政治資金収支報告書に記載していたというものです。金額は全体で16万円といわれます。選挙区内での寄付を禁止した公職選挙法は、政治家本人が葬儀に参列するか、葬儀の日までに弔問した場合を除く香典の支出を禁止しています。政治資金収支報告書通りなら公職選挙法に違反する疑惑は濃厚です。

 高木氏は記者会見や国会答弁で、いずれの葬儀にも自ら参列あるいは葬儀の日までに弔問して香典は私費で負担しており、政治資金報告書に記載したのは担当者の間違いだと報告書を訂正しました。しかし、ことはそれでは終わりません。マスメディアの取材や野党議員の調査で、高木氏が葬儀への参列も葬儀までの弔問もしておらず、香典は関係者が届けたなどの証言がいくつも出てきたのです。高木氏は国会答弁でも全面否定しましたが、証言が事実なら、高木氏は公職選挙法に違反したことに加え、国民と国会を欺いた重大な責任を問われることになります。国会での全面否定は逆に墓穴を掘る結果になりかねません。

 高木氏の地元には亡くなった人の枕もとに飾る「枕花」の習慣がありますが、高木氏の資金管理団体が政治資金収支報告書に「枕花」の代金を計上していました。あらたな疑惑です。香典と違い、本人が葬儀に参列し私費で負担したなどという言い訳がきかない文字通りの違法な寄付です。高木氏はこれについても資金管理団体の担当者の間違いだと言い訳しましたが、違法性の認識はなかったとして政治資金収支報告書の訂正も行っていません。「枕花」代は合計2万4000円といいますが、金額の多寡にかかわらず、政治家としての高木氏の責任は免れません。

 高木氏にはこのほかにも地元の原発関連企業から献金を受け取っていた疑惑や閣僚としての資質にかかわる問題があります。疑惑がもたれた場合それを解明するのは国会議員の責任です。高木氏は疑惑にこたえるべきです。

任命した安倍首相の責任

 高木氏ら疑惑がもたれる議員を閣僚に任命した、安倍首相の責任もあいまいにできません。通常なら内閣改造のあと閣僚は国会で所信をただされ、質問にも答えることになっていますが、首相は臨時国会の開催に応じていません。

 安倍首相は高木氏について、もっぱら自ら疑惑を解明するよう主張しますが、その責任は自らにも跳ね返ります。高木氏の疑惑と責任を明確にしないなら、首相自身の責任が問われます。


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