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2015年11月15日(日)

沖縄島ぐるみ会議 訪米への思い

生物多様性市民ネットワーク共同代表 吉川秀樹さんに聞く

新基地建設でジュゴンに影響

米政府の責任迫る

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 「沖縄『建白書』を実現し未来を拓(ひら)く島ぐるみ会議」は15日から訪米します。訪米団員の沖縄・生物多様性市民ネットワーク共同代表の吉川秀樹さんに訪米への思いなどを聞きました。(山本眞直)


写真

(写真)吉川秀樹さん

 訪米団は島ぐるみ会議の呉屋守将共同代表(金秀グループ会長)はじめ同地域会議代表、県議会各派代表、市民団体などから約30人を予定しています。

 訪米の目的は、前沖縄県知事による新基地のための辺野古崎と大浦湾の公有水面埋め立て承認を、翁長雄志知事が取り消したことで日本政府の埋め立て工事に法的根拠がなくなっている状況をしっかりと伝えること、そして米国政府の法的責任を追及し、新基地建設断念を求めることです。

自然保護の角度

 私は、大浦湾でのジュゴンなどの保存に取り組んできたので、自然と生態系保護の角度から取り消しの意義を米国社会にアピールしたいと考えています。

 米国政府は、新基地建設問題は日本の問題で、米国には責任がないという態度を取り続けています。しかしそれが「言い逃れ」であることは米国でのジュゴン訴訟の判決で明らかになっています。

 同訴訟は、辺野古崎などで生息が確認されている絶滅危惧種のジュゴンが新基地建設で危機的な影響が避けられないとして、米国の「国家歴史保存法」(NHPA)を適用し、2003年に日米の市民・環境団体が新基地建設中止を求めて北カリフォルニア州地裁に提訴しました。

 同地裁は08年の判決で新基地建設は米国にも責任があること、ジュゴンへの影響の有無を米国防総省が調べ、影響がある場合の緩和措置を命じました。

アセス通用せず

 国防総省は前知事の埋め立て承認後の14年4月に「影響なし」の結論を出し、工事業者にキャンプ・シュワブへの「入構許可証」を発行、「工事着手」を可能にしたのです。

 同省が「影響なし」としたのは日本の環境影響評価(アセス)を根拠にしています。しかしジュゴンへの影響はないと結論付けたジュゴン専門家の実名を伏せるという日本政府のアセスは国際的に通用しません。

 まして昨年の沖縄県知事選で「新基地ノー」を公約した翁長知事が前知事に圧勝して当選しています。翁長知事による「違法があった」としての「承認」取り消しに、民意を尊重する米国社会が動きだしています。日本政府が「取り消しは違法」と効力停止させ、撤回の「代執行」を閣議了解したことにニューヨーク・タイムズなどの主要メディアがいっせいに批判的報道を展開しています。

 ジュゴン訴訟も控訴の手続きが進んでいます。NHPAのもと協議や公聴会が行われ、日米両政府のずさんで科学や法律無視の実態が暴かれることを期待します。

 訪米では、国防総省に工事業者への「入構証」発行中止など新基地断念を迫り、米連邦議員を沖縄に招き、新基地建設ノーという「オール沖縄」の思いを共有してもらうことも訴えてきます。


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