2015年11月29日(日)
川内再稼働1カ月 やっと説明会
原発マネーを受領 県が招いた教授
安全を講釈? 住民が疑問
九州電力川内原発2号機の再稼働強行から1カ月余り。同意した鹿児島県は、きょう29日になって、ようやく住民説明会を開きます。説明会では、原発業界から寄付を毎年のように受けている大学教授が「安全対策」についての説明者となっており「まるで“やらせ”」と県民から批判があがっています。
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「県民の皆さまの原子力発電に対する理解を促進するため」(案内ビラ)として、県主催の住民説明会が29日午後、鹿児島市内で行われます。
予定が2時間の説明会では、出光一哉九州大学大学院教授と資源エネルギー庁が説明し、質疑応答を30分間行うとなっています。
出光教授は原発立地で行われる国や自治体主催の原発関連シンポジウムに度々招かれ、推進の立場で発言してきました。
本紙が情報公開で入手した資料によると、出光教授は、原発用燃料メーカーの原子燃料工業から、少なくとも計200万円の奨学寄付金を受けとっています。2008年度から毎年50万円ずつ、東京電力福島第1原発事故後の11年9月に受け取った11年度までの4年分です。
一方、民間調査会社によると、原子燃料工業の主な販売先は九州電力などの電力各社。「原発事故の影響により燃料の販売量が大幅に低下。当面は厳しい営業環境が続く」とみられており、再稼働に“期待”する側です。寄付を受け取った出光教授の中立性が問われます。
また、出光教授は佐賀県の「環境放射能技術会議」で昨年まで委員でした。12年9月の佐賀県議会では、日本共産党の武藤明美県議が出光教授の寄付問題を取り上げ「(このような人物に)放射能に関して意見を求めるなどふさわしくない」と委員罷免を求めました。
北海道が設置する原子力関連の委員会でも3人の委員が原発マネーを受け取っていたことが判明し、真下紀子党道議が追及。委員の人選基準が見直されることになりました。
言語道断だ
3・11鹿児島集会実行委員会の向原祥隆(むこはら・よしたか)事務局長の話
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原発マネーを受け取っている人物が、さも公正な専門家のような顔をして鹿児島県民に「原発の安全」についてしゃべるなど、言語道断です。
そもそも、29日の鹿児島県主催の県民向け「住民説明会」は、すでに川内原発1、2号機を再稼働させた後のものであり、「アリバイづくり」です。その本質がいっそう透けて見えます。