2015年11月30日(月)
安倍政権内に「内部留保活用」論
矛盾露呈 アベノミクス
法人減税・賃下げ進めたのは誰
安倍政権内で、企業の内部留保を活用した「賃上げ」論が高まっています。安倍晋三首相は、官民対話で経済界代表に賃上げを要請。菅義偉官房長官も記者会見で、「経済界がマインドを変えて、投資拡大や賃金の引き上げに積極的に取り組んでいくことが極めて重要だ」(20日)と企業側をけん制しました。
しかし、大企業に法人税減税をばらまく一方で、労働者派遣法大改悪など「賃下げ」政策を強行して、景気を冷え込ませてきたのは他ならぬ安倍政権自身です。こうした経済政策を見直すことなく、内部留保を膨らませる大企業を“批判”するのはきわめて矛盾した態度です。
大企業は、「アベノミクス」のもとで空前の収益をあげ、内部留保は過去最高の299・5兆円まで膨らみましたが、非正規雇用は2000万人へと増加し、実質賃金は低迷したまま。その結果、個人消費が伸び悩み、2015年7〜9月期の実質GDP(国内総生産)は前期比0・2%減と2四半期連続のマイナスとなったのです。“大企業が潤えば国民も豊かになる”というアベノミクスの破たんです。
こうした事態を受け、野党幹部からも「大きな内部留保をいかに活用して、日本経済の成長につなげるかということはきわめて大事」(民主党の岡田克也代表、26日)、「法人減税をやるならば、(内部)留保金課税とセットでやるべき」(維新の党の松野頼久代表、26日)との声が上がっています。
日本共産党の志位和夫委員長は26日の記者会見で、「私たちも大企業の内部留保を活用して賃上げをと、ずっといってきた。そういう方向が無視できなくなってきている」と指摘。安倍政権が進める経済政策を切り替え、働く人の雇用を守るルールづくり、最低賃金の大幅引き上げなどを通じて、内部留保を勤労者の暮らしに回していく必要性をあらためて強調しました。
(佐藤高志)