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2016年1月4日(月)

主張

2016年の経済

稼ぐ企業でなく国民の支援を

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 2016年は例年と違い、仕事始めの4日から通常国会が始まる異例の幕開けです。昨年末に安倍晋三政権が編成した15年度の補正予算案や16年度の政府予算案など経済問題が論戦の中心の一つになります。安倍政権は、12年12月の政権復帰からの3年余、「アベノミクス」と称し、金融緩和、財政出動、成長戦略の「3本の矢」の政策に取り組んできました。にもかかわらず経済の再生は実現せず、「国内総生産(GDP)600兆円」など「新3本の矢」を新たな目標に持ち出しています。今年こそ暮らしと経済の立て直しが根本から問われる年です。

異常な大企業優先の政治

 「世界で一番企業が活躍しやすい国」をめざす。「稼ぐ力」がある企業を応援する―。

 安倍政権がこの3年間、首相の施政方針演説や「骨太の方針」などで打ち出してきた政策は、大企業優遇という点で歴代政権のなかでも際立っています。「アメリカべったり」とともに「大企業本位」は自民党政治の特徴ですが、これほどあからさまに大企業の利益拡大を推進した政権はありません。

 実際、3年余の安倍政権は円安や株高を誘導してインフレを促進し、大企業のもうけを増やす一方、法人税の大幅減税などで大企業のふところを豊かにしてきました。「稼ぐ力」のある大企業がもうけを増やせば、回りまわって賃金や雇用が増え消費も活発になるという「トリクルダウン」(したたり落ち)の政策が筋書きでした。

 しかし世界中で、「トリクルダウン」がうまくいった国はありません。安倍政権のもとでも「トリクルダウン」はうまくいくどころか記録的な利益を上げた大企業はもうけをため込み、物価の上昇などで国民生活は悪化、賃金や雇用も改善せず、消費の伸び悩みは深刻です。筋書きは破綻しています。

 政権復帰後4回目となった昨年末の予算編成でも、安倍政権は大企業には法人税減税を前倒しで実施する一方、国民には一部の税率据え置きだけで17年4月からの消費税再増税を押し付け、その一方、社会保障予算の圧縮で医療など福祉は後退させました。大企業減税の財源は赤字企業や中堅企業への増税です。安倍政権が政権に復帰する前の12年度予算に比べると、この間の消費税増税などで国民の税負担は大幅に増え、文教関係などの予算が減る一方、軍事費だけが“一人勝ち”で増えています。

 安倍首相は昨年4月アメリカで講演した際、「私の外交安全保障政策はアベノミクスと表裏一体」と発言しました。国民に負担を押し付けて軍事費を増額し、「海外で戦争する国づくり」のために経済の軍事化を促進する点でも、安倍政権の政策が国民の暮らしと経済を破壊しているのは明らかです。

逆トリクルダウン現象も

 「アベノミクス」を「アホノミクス」とやゆしてきた経済学者の浜矩子さんは最近の著書『さらばアホノミクス』で、「アベノミクス」は「トリクルダウン」というが、弱い者いじめにはマイナス効果もあると指摘します。一将功なりて万骨枯るといいますが、万骨が枯れれば一将も功ならない―と。

 そうならないうちに、本来の稼ぎ手である国民に力を与える経済政策を―。暮らしを立て直し、安心して生活できる政策をとらない限り経済も財政も再建できません。


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