2016年1月5日(火)
通常国会開会
安倍首相・麻生財務相 TPPに前のめり
第190通常国会が4日開会しました(会期は6月1日までの150日間)。衆参両院本会議で安倍晋三首相が外交報告を、麻生太郎財務相が国会提出した2015年度補正予算案に関する財政演説をそれぞれ行い、ともに環太平洋連携協定(TPP)に前のめりの姿勢を示しました。
計上を正当化
安倍首相はTPPについて「早期発効に向け、各国の国内手続きを速やかに完了させることで一致」したと強調。麻生財務相は、昨年10月の「大筋合意」の詳細や協定の全文を明らかにしていないにもかかわらず、補正予算へのTPP国内対策費の計上を正当化しました。
TPP「大筋合意」は、国会決議をほごにし、米、麦、牛・豚肉、乳製品、砂糖の農産物重要5項目で3割の品目の関税を撤廃するなど、農業・農村の危機的現状に追い打ちをかけることは必至です。
医療や保険、食の安全など国民の命や暮らしにかかわる制度も「非関税障壁」として除去を目指します。米国をはじめとする多国籍大企業が、各国の制度の違いを超えて利益獲得のために活動できるよう共通の基準(ルール)を定めます。
昨年12月24日に政府が公表した試算は、2年前の試算に比べて国内総生産(GDP)の増加を4倍以上に見込む一方、農林水産物の生産額の減少を過小に見積もり、国民を欺こうとしています。
撤回へ運動を
政府・与党は通常国会でTPPの国会批准を行う構えを示すとともに、関連法案の提出も予定しています。自民党の谷垣禎一幹事長は昨年12月末の記者会見で、「来年夏の参院選前にきっちりやらなければいけない」と法案早期成立の意思を示しています。
TPPは「大筋合意」で“終わった”わけではなく、発効のためには日本と米国の批准が不可欠です。TPPの実態を明らかにし合意撤回に追い込むための国会での審議、国民の世論と運動の高まりが求められます。