2016年1月21日(木)
主張
2016国民春闘
賃上げ・戦争法廃止を掲げて
実質賃金が低下・低迷し、非正規雇用が増え続けるもとで、食事の回数を減らしている非正規労働者世帯、学校給食だけが唯一の食事という小学生など、絶対的と言っていい貧困が進行しています。
消費税増税の影響と相まって、個人消費の落ち込みと経済の停滞が続いています。内部留保をためこむだけで賃上げにも設備投資にも回そうとしない大企業に、経済学者、マスメディアからの批判はもちろん、「アベノミクス」の失敗に直面した政府も日本銀行もいらだちを示しています。
共同した力で迫ろう
経団連でさえ、経済の好循環へ、昨年を上回る「年収ベースの賃金引上げ」の検討と言わざるをえません。大企業の内部留保を活用した賃上げ、中小企業支援を拡大しての最低賃金の抜本的引き上げ、働くルールの確立、大企業と中小企業の公正取引こそ地域経済の再生と経済の好循環の道であることは、もはや社会的総意です。
ところが安倍晋三内閣は、大企業を潤せば賃上げにも回るなどという破たんした理屈で、法人税減税をつづけています。そればかりか、派遣労働の全面解禁と「一生派遣労働者」化につづき、低賃金で解雇しやすい「限定正社員制度」の整備、「残業代ゼロ」制度、「金銭解雇制度」など、大企業に都合のいいルール改悪をさらにすすめようとしています。
安倍内閣が本気で賃上げによる日本経済の再生を望んでいるなら、財界に賃上げを“お願い”する口実として優遇策をばらまくのでなく、最賃の引き上げ、労働の規制強化、中小企業の単価と労働条件を保障する公契約法の策定、公務員賃金の引き下げでなく引き上げなど、国としていますぐできることをすればいいではないか。
大企業の多くは、史上最高となった内部留保の使い道として、企業の合併・買収と株主還元をあげており、賃上げなど従業員還元は少数です。これが財界の本音です。
国民春闘共闘と全労連は「地域活性化大運動」と「社会的な賃金闘争」を二つの戦略と位置づけてたたかいます。連合も、中小企業や非正規労働者の処遇改善、最賃闘争を重視するとしており、地域で社会的たたかいをすすめることになります。地域春闘の持つ意味は大きなものがあります。労働組合と国民の共同した力で、政府・財界に要求実現を迫りましょう。
今年の春闘は、戦争法廃止の国民的たたかいの高揚のなかでたたかわれます。戦争法反対のたたかいでは、日本の歴史でも初めての「市民革命的」運動が開始されました。それを支える中心に、過去のいきさつや潮流を乗り越えた労働組合の共同が存在していることは画期的です。
政治闘争のエネルギー
戦争法廃止のたたかいに、これまであまり組合活動に熱心でなかった労働者や未組織労働者が数多く参加するなかで、労働組合の役割があらためて見直され、職場での活動もさらに活気づいています。このエネルギーを、春闘にも大きく結集しましょう。
原発ゼロや基地のない沖縄、労働法制や環太平洋連携協定(TPP)など、さまざまな国民的課題での共闘の発展も、職場を活性化しています。2016年春闘を、文字通り国民春闘としてたたかう条件は成熟しています。