2016年1月22日(金)
甘利氏疑惑 議員辞職が当然
首相「盟友中の盟友」
任命責任は重大
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「逃げ切れない。甘利明氏の秘書を務めた神奈川県議にも疑惑は広がっている」
甘利・経済再生担当相の口利き疑惑が取り上げられた21日の参院決算委員会。質疑を見た自民党関係者の一人は危機感をにじませます。同党内には甘利氏の辞任不可避との見方が広がっています。
甘利氏は第1次安倍政権(2006〜07年)、第2次・第3次政権(12年12月〜)を通じ、安倍晋三首相の「盟友中の盟友」として政権中枢を担ってきた閣僚です。政権全体、とりわけ安倍首相の任命責任が厳しく問われます。
甘利氏は疑惑報道の動きを察知し、一時は政権中枢に「辞意」を伝えたとされますが、「『乗り切れる』と慰留された」(関係者)といいます。しかし、口利き疑惑が指摘された国会で、答弁がしどろもどろで説明不能に陥る甘利氏の姿に、急速に危機感が深まっています。
口利き疑惑が事実であれば“あっせん利得処罰法”違反になります。あっせん利得処罰法は、自らの職務と関連のない事項について、議員や閣僚などが自らの地位の影響力を行使して、金品と引き換えに便宜を図り公務の公正と信頼を害する行為を処罰するもの。収賄罪の抜け道を罰する重大な刑事犯罪です。法律上の刑事責任と政治的責任は全く別で、政治責任はいっそう厳しく問われます。疑いをかけられただけで閣僚も議員も辞するのが政治家としての当然の責任です。
21日の参院決算委員会で甘利氏は、13年11月に自身の大臣室に千葉県の会社社長らを迎え入れたことを認めながら、何をしたのか「記憶が曖昧」と述べつつ、金銭授受の事実を否定できませんでした。
農業はじめ国民生活に破壊的影響を及ぼすTPP(環太平洋連携協定)秘密交渉の責任者が、自らの疑惑も晴らせない―。安倍政権全体の国民に対する姿勢が厳しく問われます。
(中祖寅一)