2016年1月24日(日)
与党に甘利ショック
中枢閣僚の疑惑に動揺走る
甘利明経済再生担当相の口利き・金銭授受疑惑に政権中枢と与党内が大きく揺れています。
安倍政権は、2月4日にニュージーランドで開かれる環太平洋連携協定(TPP)の署名式に、予定通り甘利氏を出席させると「強気」の姿勢です。自民党の谷垣禎一幹事長も22日の記者会見で「余人をもってかえがたい」と述べ、甘利氏が出席するとの認識を示しました。
しかし、与党内からは「26日から3日間衆参本会議での各党代表質問、29日からは一問一答となる衆院予算委員会の審議も始まる。このままでは大荒れで、とても持たない。甘利氏がダボスの国際経済会議から戻ったら(24日夜)交代になる」という声も漏れます。建設会社への口利きの見返りとして大臣室や地元事務所で100万円を受け取った疑惑に、甘利氏は21日の参院決算委員会で、相手と面会した事実を認め、現金の受け取りを否定できませんでした。公明党内からも「スパッと(更迭)」という声が出ています。
甘利氏は22日、「1週間以内(28日まで)に説明する」と述べましたが、今週中にも週刊誌では甘利氏の疑惑の続報が出るといわれています。甘利氏は、具体的に指摘された事実について全く「釈明」できない状態です。
他方、自民党議員の一人は「TPPの国会審議はこれからで、交渉当事者の甘利氏なしに成り立たない。それだけでなく経済財政諮問会議など経済政策の司令塔で、役割があまりに大きい」と、甘利氏の“辞任リスク”の大きさを危惧します。
疑惑が事実であれば、あっせん利得処罰法に違反する可能性があります。同法は、自らの公職の地位と影響力を利用し、金品と引きかえに口利きするなどして職務の公正を害する行為を、処罰するものです。
甘利氏は、第1次安倍政権から主要閣僚を務めてきました。今回指摘されている口利き・金銭授受疑惑は、予算や法案の審議・採決に大きな影響力を持つ閣僚在任中のものです。真相解明のうえ、閣僚および国会議員としての責任を明確にすることが、予算審議やTPPの審議を進める前提です。予算審議の開始を前に、政局は大きく緊迫しています。