2016年2月3日(水)
全農産物関税撤廃の恐れ
TPP 市民団体「後戻りできない」
日米など12カ国が4日に署名を予定している環太平洋連携協定(TPP)で、長期的に、日本の農産物関税が全廃される恐れがあることが、アジア太平洋資料センターほか市民団体の分析で改めて確認されました。
「市民団体による分析報告」によると、TPP協定案第2章第2・4条は2項で、「漸進的に関税を撤廃する」としています。日本オーストラリア経済連携協定(日豪EPA)など他の協定では「撤廃し、または引き下げる」としているのに対し、TPPには「引き下げ」の選択肢がなく、撤廃のみです。
また、日豪EPAなどが、コメなど農産物重要品目を関税撤廃の対象や関税にかかわる約束から除外しています。しかし、TPPには除外規定がありません。一方、日本の関税に関する付属書によると、TPP発効後7年以降、米国など5カ国いずれかの要請があれば、関税などで日本の約束を検討する協議を行うことになっています。
農産物に関し、TPPには、世界貿易機関(WTO)のような特別扱いもありません。市民団体の報告は「TPPは、日本を後戻りできない関税撤廃の道に進ませる」と指摘しています。政府は農産物重要品目について「関税撤廃の例外を確保」したとしていますが、条文上の保証はありません。